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ビューポイント No.2024-002

少子・高齢化が気候変動対応に及ぼす影響をどうみるか

2024年04月10日 大嶋秀雄


温室効果ガス(GHG)排出量を実質ゼロにして地球温暖化を抑制するためには数十年単位の取り組みが必要であり、少子・高齢化といった長期的な人口動態の変化も影響を及ぼしうる。とくにわが国は諸外国に比べて少子・高齢化が進んでおり、わが国が気候変動対応を検討するうえではその影響を考慮する必要。

少子・高齢化が進んだ場合、気候変動に脆弱な高齢者の増加で気候変動はより深刻な問題に。一方、脱炭素に向けた取り組みでは、①エネルギー効率の悪い高齢世帯の増加による1人あたりGHG排出量の増加、②人手不足による脱炭素に向けたイノベーションやインフラ整備に必要な人材確保の制約、③不十分な森林管理によるGHG吸収量の減少、④新しい製品・サービスの普及が遅れがちな高齢者の増加による脱炭素に向けた行動変容の鈍化。また、地球温暖化への備えである適応策でも、人手不足が風水害の激甚化に備えた社会インフラの修繕・強化の制約に。

わが国政府が採るべき方策として、少子化対策への注力はもとより、人口減少や高齢化を踏まえた気候変動対策の立案、推進が不可欠。具体的には以下。
①少子化に伴う人手不足への対応
気候変動対応にはイノベーションや社会インフラ整備など専門知見・技術を持つ人材が多く必要であり、育成には時間も要するため、政府には必要な人材を戦略的に育成する環境整備が求められる。加えて、省力化投資の促進や外国人材の活用のほか、機械化等によって女性や高齢者でも就労しやすい業務を増やすことも重要。

②高齢化に伴う地球温暖化への脆弱性の高まりへの対応
風水害の激化や高齢者の増加等を想定したハザードマップ・防災対策の見直しや、IT技術を活用した高齢者見守りサービス普及のほか、高齢化・過疎化が進む地域ではコンパクトシティを推進して自然災害等へのレジリエンスを高めるのも一案。

③高齢化に伴うエネルギー効率の悪化や行動変容の鈍化への対応
高齢世帯にも省エネ家電や太陽光発電システム等の普及を促す必要があり、政府・自治体は、高齢者に能動的にアプローチして取り組みの意義や方法を助言したり、地域全体で取り組みを進めて高齢者にも行動変容を促す。また、リバースモーゲージやシェアサービス等の普及を促して、初期コスト負担の軽減を図ることも有効。


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