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リサーチ・フォーカス No.2024-001

懸念される中国の小規模・零細企業の債務急増

2024年04月01日 関辰一


中国では、近年、小規模・零細企業の債務が急増している。2023 年 9 月末の小規模・零細企業向け貸出残高は 69 兆元と 2015 年末から 46 兆元増加しており、その規模は同期間の大企業・中規模企業の債務残高の増加分(53 兆元の増加)に迫りつつある。

この背景として、以下の 2 点が挙げられる。第 1 は、コロナ禍への対応である。政府は 2020 年、厳しい行動制限の影響で経営難にある中小零細企業を支援するために、金融機関に対して貸出を積極化するよう指示した。第 2 は、コロナ禍前から行われていた金融機関に対する政府の貸出指導である。政府は 2018 年以降、とくに小規模・零細企業向け貸出のうち与信額が小さい貸出を積極化するよう指導しており、目標未達の金融機関に対して業務改善命令を行うとした。

小規模・零細企業向け貸出の急増は、2015 年から 2020 年に急増した不動産向け貸出のそれを彷彿させる。小規模・零細企業の巨額の債務が焦げ付き、不良債権が急増するリスクが懸念される。今後、中国経済の新しいリスクとして小規模・零細企業の債務問題を注視していく必要がある。

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