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リサーチ・アイ No.2023-086

欧州議会選挙がグリーン化機運の後退を招くリスク ― 巨額の関連投資が阻害される恐れ ―

2024年02月19日 藤本一輝


欧州では、本年6月の欧州議会選を機に、グリーン化の機運が低下する可能性あり。2019年の前回選挙以降、EUは2050年までの気候中立を目指し「欧州グリーンディール」を推進。もっとも、足元の世論調査では「アイデンティティと民主主義(ID)」など、反グリーンを唱える極右政党が支持を拡大。仮に、環境主義政党が勢力を落とせば、グリーン化の推進を修正する制度が可決される可能性も。例えば、最大会派の欧州人民党(EPP)は、2035年以降の新車販売を二酸化炭素排出ゼロ車のみとする法案を見直す方針。

環境主義政党が支持を失っている背景には、市民の気候対策疲れ。欧州シンクタンクBruegelの調査によると、個人所得の減少を伴う気候対策は、個人所得の変動を伴わない場合と比べて▲7.5%支持を落とす傾向。ドイツにおいて暖房設備に再生可能エネルギー利用が義務付けられるなど、経済的負担が重い気候対策に市民の不満が強まっている模様。

グリーン化の機運低下が進めば、欧州のグリーン関連投資を阻害する恐れ。欧州委員会は、「欧州グリーンディール」の推進で2031年から50年にかけてエネルギー関連の投資需要(GDP比)が、2010年代と比べて年間+1~2%ポイント増加すると試算。仮に、グリーン化政策が縮小した場合、こうした投資需要が顕在化しないほか、「欧州グリーンディール」の持続性や効果に疑念が生じることで民間からの資金流入が減少する可能性。これにより、欧州の中期的な成長力が弱まる恐れ。


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