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リサーチ・フォーカス No.2023-048

会津地域における民が支える地域DX ― サードプレイスとリビングラボによる「居場所と出番づくり」 ―

2024年02月05日 野村敦子


会津地域では、2010 年代より会津若松市を中心として、産学官連携によるスマートシティのプロジェクトが展開されているほか、「会津はひとつ」を合言葉に、福島県会津地方振興局が取りまとめ役となって、13 市町村を対象に広域での自治体DX が推進されている。当地には IT を専門とする会津大学が立地し、多くのベンチャー企業が輩出されているなど、デジタル技術の活用が進んでいる先駆的な地域として、全国から注目されている。

会津地域は、もともと地域住民の自発的な集まりや活動が盛んな土地柄でもある。東日本大震災の発生以降は、地域の復興や再活性化を目的として、官民の多様な人材が参加する組織が生まれており、これらの組織により草の根からの DX も活発に展開されている。代表的な組織として、「會津価値創造フォーラム」と「株式会社会津の暮らし研究室」がある。本稿では、この2組織を中心とした活動を取り上げた。

これまでの主な取り組みには、行政 DX の支援、お金の流れの DX(石高プロジェクト)、地域人材の DX、DX を巡る地域と企業の橋渡し、などがある。活動の特長としては、①市民の視点を取り入れるにとどまらず、市民が参加する DX を志向していること、②共助・互助のツールとしてデジタルやデータが活用されていること、③オープンかつ重層的・複層的なネットワークが形成されていること、などが挙げられる。

一方、地域に共通する課題としては、①特定の人材への依存、②活動を継続するための資金の確保、③地域コミュニティの繋がりの希薄化、などを指摘することができる。いずれも、地域の中で人や組織、地域間の繋がりを形成し、いかに人々の地域への関心や協働へと結び付けていくかが重要な論点であるが、会津地域で実践されているサードプレイスやリビングラボの取り組みが、解決に導く手立てになると考えられる。
いずれにせよ、会津で試行されている市民目線・市民参加の DX の取り組みは、市民生活の質的向上や地域社会の課題解決に資するものであると同時に、次世代の公共にも繋がるものと考えられ、他の地域においても参考になろう。

(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)
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