リサーチ・アイ No.2023-078 アジア諸国で米国向け輸出が急拡大 ―米利下げ開始・トランプ再選なら回復は短命に終わる恐れ― 2024年01月25日 野木森稔、佐野淳也主要輸出先である中国の景気が停滞しているにもかかわらず、韓国、台湾、ASEANといったアジア諸国の輸出は米国向けを中心に回復。なかでも自動車や太陽光パネル、機械部品といった品目が大きく増加。この背景として以下の2点を指摘可能。第1に、為替による輸出押し上げ効果。これまでの米国の利上げに伴い、アジア通貨は対米ドルで軒並み減価しており、価格面の競争力が向上。第2に、米国のインフレ抑制法(IRA)。クリーンエネルギーへの転換が支援されていることを背景に、アジアからの太陽光パネルなどの輸出が増加。韓国では、補助金の対象として認可されたレンタルやリースなどに使われる商業用エコカーの輸出を積極化。ただし、今後は輸出が反落するリスクあり。為替の面では、米FRBが利下げに転換し、アジア通貨が増価する可能性。さらに、米国大統領選におけるトランプ氏の再選もリスク。米国では、韓国、台湾、ASEANに対する貿易赤字が中国に代わって急拡大。仮に、トランプ氏が再選されれば、前回の政権担当時と同様に貿易不均衡の是正を求めて、輸出に何らかの制裁が課せられる可能性。さらに、脱炭素の潮流に反発するトランプ氏がIRAを縮小する場合、クリーンエネルギー機器やエコカーへの支援が受けられなくなる恐れも。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)