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リサーチ・フォーカス No.2023-046

【金融政策正常化シリーズ②】
「金利ある世界」が迫る中小・零細企業の再編と経営改善― 人件費3%、金利2%の上昇で倒産は2割増 ―

2024年01月24日 井上肇


わが国経済は賃金と物価がともに上昇する好循環が定着していくかどうかの重要な局面を迎えている。大企業では積極的な賃上げ表明が相次いでいるものの、雇用の約7割を占める中小企業にも賃上げの動きが広がるかどうかは不透明感が強い。さらに、金融政策の正常化で借入金利が上昇し、債務返済に窮する中小企業が増加すれば、賃金と物価の好循環が阻害される可能性もがある。

中小企業のなかでも、比較的規模が大きい企業では、賃上げ余力は高まっている。賃上げの原資となる企業収益が改善しているほか、労働分配率の引き上げ余地も小幅ながら拡大している。もっとも、中小企業のなかでも規模が小さい零細企業では、経営状況が総じて厳しい。本業の収益力は低迷しているほか、債務残高も大きく、賃上げ余力や債務返済能力は総じて低い。今後、賃金の上昇や金利の上昇が本格化すると、零細企業は全体として一段の経営難に陥る可能性がある。試算によれば、賃金が3%上昇、借入金利が2%上昇した場合、零細企業の経常利益は6割減少し、倒産件数も2割増加する計算になる。

賃金と物価がともに上昇する局面で金利水準が高まるのは必然であり、そのなかで中小企業が人件費の増加を販売価格に適切に転嫁することや生産性を向上させることが不可欠である。生産性の向上には中小企業のDXの取り組みを支援していくことや、企業や事業の再生・新陳代謝を円滑に進めることが重要である。


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