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ビューポイント No.2023-020

インドにおけるデジタル公共インフラ― India Stack と日本の自治体 DX への示唆 ―

2024年01月09日 岩崎薫里


デジタル公共インフラとは、国民生活や経済活動がデジタル技術の恩恵を受けることができるように整備された、オンライン上誰でも利用可能なインフラである。技術基盤としてのデジタルインフラ(インターネットや通信ネットワークなど)の上に成り立ち、さまざまなデジタルサービスの創出を促進する基盤としての役割を担う。

インドにおけるデジタル公共インフラ、India Stack は個人識別番号制度 Aadhaar をベースに開発され、官民に広く開放された諸機能である。官民は活用したい機能があると、その API を利用し当該機能を自組織のアプリケーションと連結することができる。

India Stack の主な特徴として、以下の 3 点を指摘できる。
① 個人データの積極活用:プライバシーを保護しつつ個人データを共有することで、経済成長と国民の豊かさの実現を目指している。
② 機能別のシンプルな構造:インフラとして広く活用されるために、それぞれの機能は一つのことだけに特化し、簡単に取り扱えるように設計されている。
③ 官民協力のもとでの開発:民間事業で鍛えられた IT の専門家が関与することで、利用者目線に立った使い勝手のよい機能の開発が実現した。

翻って日本では、自治体 DX を推進しようにも、そのための人材もノウハウも不足している。そこで、これまで自治体ごとに行ってきたシステム導入を改め、自治体に共通するデジタル基盤・機能をデジタル庁が用意することとなった。これはまさにデジタル公共インフラの考え方である。

日本はこの取り組みにおいて、India Stack のように民間の力を借りながら、使い勝手の良いシンプルな構造の基盤・機能を開発することが重要である。各自治体はそのなかから有用と考えるものを取り込みながら、自地域の事情や目指す方向性に合致した独自の価値を付加していくことができる。インドでは India Stack をバネに、障害を乗り越えつつ DX を進めてきた。それと同様の強い意思と粘り強さが日本にも求められる。

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