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JRIレビュー Vol.1,No.112

アメリカ経済見通し

2023年12月26日 松田健太郎栂野裕貴立石宗一郎


足許のアメリカ経済は堅調である。サービス需要のコロナ禍からのリバウンドが続いているほか、政府による緩和的な財政政策が需要を押し上げている。部材や労働力の供給制約が解消に向かっていることも企業の生産活動を活発化させている。さらに、労働市場では、求人と求職のマッチングが改善し、サービス業の雇用復元が進んでいることで、失業率の急騰が回避されていることも景気を下支えしている。

先行きのアメリカ経済は軟着陸に向かう見通しである。経済成長率は、2023年の+2.4%から2024年に+1.5%へ減速した後、2025年に+1.7%へ回復すると予想する。好調であった景気は2024年前半にかけて減速するとみる。家計部門では学生ローンの返済再開が個人消費を下押しするほか、企業部門では利払い負担の増加が設備投資を押し下げる見込みである。もっとも、インフレの沈静化を受けてFRBが利下げを開始することで、2024年後半以降の景気は緩やかに回復するとみる。

当面の景気下振れリスクとして、高インフレの長期化が挙げられる。資源高を受けた期待インフレの高まりや先鋭的な労組要求によって賃金面からのインフレ圧力が持続する場合、FRBによる利下げへの転換が実現せず、景気後退に陥る恐れがある。金融面にもリスクは多く、学生ローンの返済を起点とする若年層のデフォルト増加や、オフィスを中心とする商業用不動産市場の悪化に注意が必要である。

中長期的なリスクとして、2024年の大統領選挙でトランプ氏が再選され、経済政策が大幅に変更される可能性が挙げられる。減税などによって財政赤字が拡大する場合、物価と金利が再び上昇する可能性がある。対中関税の引き上げで、コスト面からアメリカ国民の負担が増加する恐れもある。さらに、移民規制が強化される場合、中長期的に潜在成長率が下振れるとともに高インフレが定着する可能性もある。

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