リサーチ・フォーカス No.2023-040 地方のリテールバンキング市場の動向と地銀に求められる戦略 ~レッドオーシャン化する市場をどう生き抜くか~ 2023年12月12日 大嶋秀雄地方のリテールバンキング市場をみると、人口減少と預金流出による市場縮小圧力、ネットバンク・FinTechの台頭による競争激化が進展。今後、金融政策が正常化に向かえば、貸出・預金残高の抑制、預金獲得競争の激化も予想され、レッドオーシャン化が一段と進む見通し。地銀にとってリテールバンキング業務は、収益だけでなく、預金確保の面でも重要。市場が縮小するなかで事業規模を維持・拡大しつつ、広域展開するネットバンク等に対抗するためには、地域において成長が見込まれる顧客・サービスを見極め、地銀の強みを活かした効果的なアプローチを行いつつ、顧客とのリレーションを強化する施策が重要に。具体的な方向性は以下の通り。①成長する顧客層の見極め:総人口が減少している地方においても増加基調にある高齢層や、世帯所得が増加している共働き若年層が有望。②需要のあるサービスの見極め:高齢層にも住宅資金等のニーズがあり、リバースモーゲージなどの高齢層向け商品の利用が拡大。共働き若年層では、住宅資金、資産形成のニーズあり。③効果的なアプローチの検討:ネットバンクに対抗する意味でも、アプリ等のデジタルチャネルの強化は不可欠。加えて、対面サービスや職域など地銀の強みを活かせるアプローチが必要。④顧客とのリレーション強化:地域企業との連携も含め、高齢者サービスなどの付帯的な対面・非金融ビジネス等で顧客リレーションの強化を図ることが重要。これらの施策に取り組むうえでは、ビジネスモデルに適した店舗網・形態への店舗戦略の見直しや専門人材の確保に向けた人材戦略の見直しも必要。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)