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リサーチ・レポート No.2023-016

【米国経済見通し】軟着陸に向かう米国経済~トランプ大統領再選なら高インフレ・低成長リスク~

2023年11月30日 栂野裕貴立石宗一郎松田健太郎


足元の米国経済は堅調。景気を押し上げている要因は、①サービス需要のリバウンド、②緩和的な財政政策、③供給制約の解消、④労働市場における需給ミスマッチの改善。

今後の米国経済は軟着陸を予想。金融環境の引き締まりが景気の重石となる一方、良好な雇用・所得環境が個人消費を下支えし、経済はプラス成長を維持。この間、高インフレは沈静化へ。2024年前半にはFRBによる利下げが開始され、成長率は潜在成長率(2%弱)に向けて緩やかに上昇する見通し。

当面のリスクは、資源高を受けた期待インフレの高まりや先鋭的な労組要求による賃金高騰。賃金と物価が相乗的に上昇することで、高インフレの沈静化が阻害される恐れ。金融面にもリスクあり。学生ローンの返済を起点とする若年層のデフォルト増加や、オフィスを中心とする商業用不動産市場の悪化に注意。

2024年の大統領選挙におけるトランプ再選も米国経済のリスク。減税によって財政赤字が拡大する場合、物価と金利が再び上昇する可能性。対中関税の引き上げで、コスト面から国民負担が増加する恐れも。さらに、移民規制が強化される場合、中長期的に潜在成長率が下振れるとともに物価を押し上げる公算大。


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