リサーチ・レポート No.2023-013
【アジア経済見通し】回復の勢いを欠くアジア景気~中国不動産問題や供給網混乱により景気腰折れリスクも~
2024年のアジア景気は財輸出の底打ちを背景に回復が続く見込み。しかし、①中国経済の低迷、②高金利の継続、③インフレ率の高止まりが重石となり、景気は勢いを欠く展開。NIEsの成長率は+2.1%、ASEAN5は+4.9%と前年から加速するものの、コロナ禍前を下回る伸びにとどまる見通し。
こうしたメインシナリオに対し、中国不動産市場のスパイラル的な悪化が下振れリスク。その場合、中国の金融・経済の不安定化が、貿易取引を通じてアジア景気を後退させる恐れ。また、中国が重要鉱物の輸出管理強化も懸念材料。こうした動きが過度に強まると、供給網が混乱し、広範囲にインフレを招き、経済を下押すリスクあり。
中国は景気浮揚策で最悪期を脱したものの、不動産不況が引き続き景気の重石に。2024年は前年を下回る+4.4%成長となる見通し。①景気浮揚策の効果一巡、②内外需要の自律的な回復力の弱さが背景。
インドの2024年度成長率は+6.7%と、コロナ禍前を超える安定した成長を予想。ただし、エネルギー・食料を中心とするインフレの再燃が景気を下押しするリスクには注意が必要。
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