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リサーチ・アイ No.2023-061

世界の分断化で深まる気候変動問題の悪影響~NGFS新シナリオが示した国際連携の重要性~

2023年11月24日 大嶋秀雄


11月7日、各国金融当局等が組織するNGFS(注)は、温暖化に伴う異常気象(物理的リスク)や脱炭素社会への移行(移行リスク)が経済・金融市場等に与える影響を推計した気候シナリオを公表。昨年に続く4回目で、気候変動対策等の想定が異なる7つのシナリオで構成。

注目すべきは新たに追加された「世界分断化シナリオ」。本シナリオでは国際連携の機能不全の影響を推計。具体的に、脱炭素目標を掲げる先進国等では2030年以降に温室効果ガス(GHG)排出削減を加速させて移行リスクが顕在化する一方、新興国中心にGHG排出削減は進まず。世界全体では、温暖化が止まらないことで物理的リスクが深刻化。

実際、国連やG7、G20等では米中対立等もあって合意形成は難航しており、先進国による新興国向け気候資金支援目標(2020年までに年1,000億ドル)も未達となるなど、現時点では国際連携が十分に機能しているとは言いがたい。

秩序ある形での脱炭素実現には国際連携が不可欠であり、とくに新興国に対する資金・技術面等の支援強化が急務。11月末から始まる国連COP28でも新興国支援は主な論点となる見通し。わが国を含む先進国には、公的資金支援の拡充だけでなく、新興国における民間資金・技術の活用を促すため、民間企業がビジネスとして参入しやすくなるように、新興国の基本的な法規制や気候関連政策の整備、専門人材の育成なども含めた多面的な支援の強化が求められる。


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