リサーチ・アイ No.2023-052 半導体関連で増加する製造業の建設投資 ー労働力不足がボトルネックにー 2023年10月23日 後藤俊平製造業の建設投資意欲が旺盛。製造業からの民間建設工事受注額(大手50社)は、昨年以降増勢が加速しており、足元では年率3兆円台とバブル期以来の高水準に。内訳をみると、工場・発電所の受注増加がけん引。この背景として、半導体関連の工場建設の増加が指摘可能。昨年以降、政府による補助金政策や地政学リスクの高まりを受けた半導体生産の分散化などが工場建設の追い風に。半導体関連を含む電気機械業による建設工事受注額は、コロナ禍前の2倍近くに拡大。もっとも、こうした需要増加がストレートに竣工増に結びついておらず。鉱工業用建築物の着工床面積は、2010年に底打ちしたものの、その後も回復が鈍く、低位にとどまっている状況。足元では、未消化のまま積み上がった工事量が過去最高水準。この要因として、人手不足による供給制約が生じている可能性。全国の建設企業を対象に実施された調査では、人手不足が最大の経営課題に。日銀短観9月調査によれば、建設業の雇用人員判断DIはバブル期以来の低水準となっており、人手不足は深刻。さらに、2024年度以降は、これまで猶予されていた時間外労働時間の上限規制が建設業でも適用開始となることから、人手不足感が一段と強まる恐れ。建設投資のボトルネック解消に向けて、供給力拡大に資する労働力確保や生産性向上が急務。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)