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リサーチ・フォーカス No.2023-029

知識を行動につなげる金融教育のあり方 - フィンランドの取り組みから得られる示唆 -

2023年10月04日 野村拓也


わが国では、金融経済教育の充実が「資産所得倍増プラン」における施策の柱の1つとなっている。現状、個人の金融知識の水準は高いものの実際の行動に繋がっておらず、金融教育においていかに知識を行動に結びつけるかという課題あり。

一方、海外諸国においても、金融面の知識と行動のギャップが問題となっている。注目事例として、フィンランド中銀は2021年1月に「国家戦略への提言」を公表し、同国は、当該提言に基づいて金融教育の充実に向けた取り組みを進めている。

フィンランド中銀の提言のうち、金融行動を促すための取り組みは主に以下の3点。
-金融行動に関連するゴールの設定。国全体の大目標と関連し、知識、行動、姿勢の3分野に関する「ゴール」を定め、ゴールの達成・未達成を判断する項目と基準をサブゴールとして設定。

-金融教育提供の場の拡大。金融面の行動が必要となるタイミングで適切に金融教育を受けられるよう、社会活動のなかに金融教育の機会を組み込み。金融教育を「生涯学習」と捉え、幼少期・学齢期、成人期、退職年齢期といったライフステージ別に、金融教育を受けられる場所とその内容について情報提供。

-多様なゲーミフィケーション・ツールの活用。アプリ等のデジタルツール、ボードゲーム、コンテスト等を用いて、知識はあるが行動に繋がらない層に対して、金融行動に向けた一歩を踏み出すインセンティブを付与。

また、金融リテラシー全般の向上に作用する取り組みとしては、金融教育の品質維持に向けたコード(行動原則/規範)の設定や、政府の方針に合致する規模の大きな金融教育プロジェクト等への補助金の設定など。

わが国においても、今後取り纏められる見通しの金融教育に係る基本方針において、フィンランドのような、①金融面の行動につながるゴールとサブゴールの設定、②ライフステージ別に金融行動が求められるタイミングでの金融教育の提供、③体験型学習ツール導入・幅広い金融知識コンテスト開催など、ゲーミフィケーション・ツールの積極活用などを盛り込むことを検討すべき。


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