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パブリックブロックチェーンの技術動向 ~企業活用に向けた技術課題と現状~

2023年06月05日 先端技術ラボ 渡邊大喜


本レポートでは、パブリック型のブロックチェーンについて、企業活用における技術課題を整理し、その解決策について現況と動向をまとめた。

これまでエンタープライズ分野において、ブロックチェーン技術は主にプライベート/コンソーシアム型といった、特定の参加者のみが利用できる”閉じた”ネットワークを中心に活用されてきた。一方で足許では、NFT(非代替性トークン)やWeb3.0(自律分散型のウェブ)といったブロックチェーン技術を基盤とした新たな技術トレンドが発生している。これらの技術トレンドでは、参加者を限定せず不特定多数のノードによって運営されるパブリック型のブロックチェーンも活用されている。

2009年より運用が開始された暗号資産Bitcoinは、中央集権的な機構を排して、自律分散的な支払いネットワークを構築できることを示した。2015年に登場したEthereumは、スマートコントラクトを搭載し、支払いと紐づくプログラマブルな処理を可能とした。これら最初期のブロックチェーンは、不特定多数によって利用されるパブリック型のネットワークを前提としているため、システム面では様々な制約がある。企業利用において、特に技術面では、以下の4つの課題が障壁となっていた。

1. スケーラビリティ
2. セキュリティ
3. プライバシー・機密性
4. 電力消費

「スケーラビリティ(処理性能の拡張性)」が低いという問題は、近年発表された新興のブロックチェーンやレイヤー2技術では、処理の集約化や並列化などを駆使して解消が進んでいる。「セキュリティ」面では、DeFi(分散型金融)への攻撃件数が増加しており、秘密鍵の管理などの重要性が増しているものの、抜本的なソリューションは登場していない。「プライバシー・機密性」については、全世界的にマネーロンダリングへの規制が強まっており、匿名性を高める技術については風当たりが強まっている。「電力消費」が大きく環境負荷が高いという問題については、再生可能エネルギーや電力消費量の少ないコンセンサス方法(Proof of Stake等)といった解決手段は存在しており、普及が待たれる。

パブリックブロックチェーンの上記4つの課題については、技術の発展に伴い、部分的には解消されてきている。一方で、プラットフォーム間での技術開発の競争が激しく、同一の課題に対して多種多様な方式が提案されている状況でもある。企業活用においては、利用するブロックチェーン基盤の選定をより慎重に行うと共に、異なるブロックチェーン間のインターオペラビリティ(相互運用性)を意識し、アプリケーションの移植性や互換性を加味してシステム設計を行うことが肝要である。

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