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リサーチ・フォーカス No.2023-024

わが国の国際金融センターとしての評価向上に向けた都市間連携のあり方

2023年09月14日 野村拓也


わが国では、2020 年以降、国際金融センターの実現に向けた機運が高まっており、政府は、本年6月公表の「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画 2023 改訂版」においてもその方針を堅持。また、東京、大阪、福岡の3都市もここ数年、国際金融都市の実現に向けた戦略を策定し、各種施策を展開。もっとも、こうした取り組みにもかかわらず、わが国の国際金融センターとしての相対的な評価は必ずしも高まらず。

この背景には、諸外国と比較して施策の実行スピードが遅い点、高度人材の確保のし易さなどのビジネス環境の整備が十分でない点のほか、諸外国からの認知度が低く、存在感が高まっていない点が要因として存在。また、認知度が低い背景として、わが国は、国全体としての金融機能を最大化させる、あるいは自都市の国際金融都市としての情報発信に繋がる、というメリットがある国内外の「都市間連携」が不十分であることを指摘可能。

諸外国では、国内の複数の金融都市の協働分野と競争分野を明確化し、政府が必要な施策を効率的に導入する「国内都市間連携」が数多く存在。中国では2010 年以降、深圳が香港と金融面で連携を深め、国際金融都市としての評価を確立。また、ドイツは、フランクフルト等の5都市・地域が連携する枠組みを創設。一方、「国際都市間連携」に関しては、シンガポールやトロントが世界中の幅広い地域の都市と連携しているほか、フランクフルトもアジア圏の都市との強いネットワークを構築。

これに対し、わが国では、国内においては、東京、大阪、福岡の連携が不十分であるほか、国際的には、東京が多国間連携に積極的に取り組んでおり一定の評価が可能ながら、2ヵ国間連携については欧州主要国の都市と連携しているのみで、他国と比較して限定的。

今後わが国は、国内都市間連携に向け、政府当局と3都市が参加する会議体を早急に立ち上げるべき。そのうえで、協働分野を明確にし、当該分野の施策の実行スピードを速めることが重要。また、国際都市間連携に関しては、各都市が、多国間連携とともに2ヵ国間連携にもバランスよく取り組むことが必要。地域性を踏まえつつ相乗効果が期待できる都市との連携する観点から、現在の姉妹都市・友好都市を中心に提携の可能性を模索することも一案。


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