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ビューポイント No.2023-010

EBPM(証拠に基づく政策立案)の効果的な活用について

2023年08月31日 石川智久


今年度の「経済財政運営と改革の運営方針(骨太方針)」では、「効果的・効率的な支出の推進とEBPM(証拠に基づく政策立案)の徹底強化」が明記された。また、政府各部門でも有意義なデータ分析結果もみられ、EBPM の素地は整いつつある。

一方で、現在は一部の分野でテストケースを行っている段階であり、本格的な政策展開には至らず。今後、効果的なEBPM を行い、ワイズ・スペンディングや無駄のカットにつなげるためには、次の課題について以下の対応が重要である。
① 手法:現在は様々な手法が混在するなか、議論が錯綜。対策としては、データ整備状況や政策分野の特性などに応じて高度なRCT(ランダム化比較試験)から比較的エビデンスレベルが低いものまで適切な手法を選ぶ必要。手法を巡る不毛な議論に終止符を打つことが重要である。

② 政府内での連携:政府内では担当部署が複数存在し、連携が不十分。EBPM 疲れも指摘される。今後は、いわゆるEBPM 三本の矢と各省庁の取り組みのすみわけと連携等を果たすことで効果の最大化と効率化を果たすべき。

③ 政策パッケージとしての評価:個別政策の検証が多く、政策パッケージでの検証が少ない。少子化や防衛等、政策パッケージが出されるなか、政府としてはパッケージとしての効果を検証し、マクロ経済や財政全体の影響も示すべき。

④ 予算への展開:現在は分析が中心であり、現時点では予算への展開が不透明。今後は、効果が低いものは予算を減らす一方で、効果が高いものは特別枠の活用などによる予算増額のほか、近年注目を集めるインパクト投資の活用などでメリハリを利かせることが重要。

⑤ 実務的な課題と時間軸:行政機関データ活用、民間も含めたEBPM 人材育成、費用対効果の検証など、実務面で多くの問題が存在。これらの課題は相当の時間を要するものが多いため、10 年程度のEBPM 整備計画の策定が必要。実効性の観点からは基本法を制定し、それに基づく計画とすることも検討に値。

政策分野によっては、財政支出の抑制と国民厚生の維持の両立が示すエビデンスもみられ、そうした事例を参考に財政再建に繋がるEBPM に向けて歩みを進めるべき。

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