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リサーチ・アイ No.2023-027

中国景気回復の急ブレーキに「日本化」の影― センチメント悪化が続き貯蓄が増加、長期停滞に陥るリスクも ―

2023年07月19日 野木森稔


中国の4~6月期GDP成長率は前期比+0.8%(前期同+2.2%)と回復に急ブレーキ。経済再開後の消費の反発が予想よりも短期間で収束。消費者センチメントはコロナ禍前よりも悪く、過剰貯蓄の積み上がりが続くなど、家計の消費意欲が低迷。不動産・雇用の悪化やデフレマインドの強まりなどが要因。過去の日本との類似点が多く、中国経済が「日本化」している可能性。

第1に、不動産市場の低迷。6月の住宅着工は急激に悪化し、2005年ごろの水準まで低下。度重なる規制緩和で市場の過熱感が長引いた結果、不動産の過剰在庫など構造問題が深刻化。人口減少も加わり、不動産需要は長期にわたり減少する公算大。住宅価格の下落予想などが逆資産効果を通じて消費を抑制。

第2に、雇用の不安定化。6月の失業率は5.2%とコロナ禍前(2017~19年平均5.0%)より高く、若年層に限れば20%超に。政府は7月に若者を雇用する企業への支援金給付を決めたが、1人当たり1,500元(約3万円)と小規模。若年層失業者の急増は、就職氷河期の到来を意味し、将来不安を通じて消費意欲を押し下げ。

第3に、デフレマインドの強まり。消費者物価は6月の前年同期比ゼロ%に低下し、7月以降はマイナスに転じる見込み。物価下落への期待が消費先送りを招来。消費者の値上げへの厳しい態度が企業収益を低下させ、高付加価値な財・サービスの開発意欲を削ぐ可能性。

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