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リサーチ・アイ No.2023-024

国際サステナビリティ開示基準が求めるサプライチェーン排出量の開示と今後の課題

2023年06月27日 大嶋秀雄


6月26日、国際会計基準を策定するIFRS財団は、サステナビリティ開示基準の一般的要求事項(S1)と気候関連開示(S2)を公表。S2は気候関連開示の枠組みであるTCFDを基に策定。とくに、温室効果ガス(GHG)排出量について、様々な間接排出(Scope3)を含むサプライチェーン全体の排出量の開示を要請。わが国でも同様の開示基準の導入を検討中。

サプライチェーン排出量は、投資家の判断材料になるだけではなく、各企業での排出実態の把握や排出削減への課題の特定等にも重要。しかし、JPX日経インデックス400を構成するわが国の大手企業でもScope3の開示は半数程度で、規模が小さい企業ほど開示が減少。

Scope3の正確な算出には、サプライチェーン内の各企業の排出量データが必要ながら、大半の中小企業は排出量を計測しておらず、同じサプライチェーン内でも取引のない企業からのデータ入手は困難な状況。そのため、各品目の平均的な排出量等による簡易算定が主流であり、各企業での排出削減努力等が十分に反映されず、Scope3は高めに算出される傾向。

今後、Scope3算出の重要性が高まると予想され、中小企業での排出量計測の普及やデータ連携の仕組み構築が急務。政府は、補助金等で中小企業の計測負担を軽減するとともに、大手企業・金融機関等と連携して、中小企業に対する計測支援体制を強化すべき。また、既に様々な排出量計測サービスがあり、効率的なデータ連携に向けて、データ形式の標準化等も重要。こうした施策でサプライチェーン排出量が可視化され、わが国企業の排出削減が進むことを期待。


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