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リサーチ・アイ No.2023-021

英国で賃金・物価スパイラルの可能性~賃上げ要求の強まりが、高インフレを長期化させる恐れ~

2023年06月21日 後藤俊平


英国では賃金が高騰。2023年4月の名目賃金は前年比+7.2%と前月から一段と加速。景気の低迷や、コロナ禍で落ち込んだ人員の復元が一服していることなどを背景に、労働需給には緩和の兆し。これにもかかわらず賃金上昇圧力は根強い背景として、以下のとおり、物価上昇を賃金に反映させる動きが強まっていることが指摘可能。

第1に、労働争議での賃上げ要求の強まり。22年半ば以降、ストライキなどによる労働損失日数は、労使間紛争が激化した1970~80年代以来の高水準。これにより、1~3月期の妥結賃金(中央値)は前年比+6%と記録的な高水準。背景には、物価高による生活苦の深刻化や、企業の人手不足を受けた労働者の賃金交渉力の高まりなど。

第2に、最低賃金の引き上げ。英国政府は、4月からの最低賃金を時給9.50ポンドから10.42ポンド(前年比+9.7%)に改定。これは、足元のインフレ率に匹敵する高い伸び。諮問機関である低賃金委員会の試算では、雇用者全体の約7%が最低賃金引き上げで所得が増加する見込み。こうした政府による生活保障の動きも、賃金インフレを助長する一因に。

サービス業では、こうしたコスト増を販売価格に転嫁。サービス業の価格転嫁姿勢は、足元にかけて一段と積極化しており、労働コストの高まりが物価を一段と押し上げやすい状況。こうした動きが今後も続けば、賃金と物価のスパイラル的な上昇が本格化する恐れ。


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