コンサルティングサービス
経営コラム
経済・政策レポート
会社情報

経済・政策レポート

ビューポイント No.2023-005

円滑な脱炭素のカギを握るカーボンフットプリントの普及に向けた課題

2023年06月12日 大嶋秀雄


脱炭素の機運が高まるなか、多くの企業が温室効果ガス(GHG)排出削減に取り組んでいるものの、GHG排出の実態把握の難しさが課題となっている。こうしたなか、各製品・サービスのライフサイクル全体のGHG排出量を可視化するカーボンフットプリント(CFP、Carbon Footprint of Products)への注目が高まる。

CFPには脱炭素の推進に向けて様々な役割が期待されており、具体的には、①サプライチェーン全体のGHG排出量の正確な計測、②排出削減に向けた課題の特定、②低炭素製品・サービスの普及後押し、④家計における排出削減・意識改革の後押し、⑤CFPを基準した実効性の高い気候変動政策の立案など。

しかしながら、現時点ではわが国でCFPが算出されている製品・サービスは限られる。普及に向けて、以下の取り組みが求められる。
(1)GHG排出量計測の普及
大手企業に対するGHG排出量の開示義務化に加えて、中小企業に対するGHG排出量計測システム導入やGHG計測スキル習得の支援を強化。また、中小企業の脱炭素をサポートする脱炭素アドバイザー資格制度等の早期導入も重要。
(2)データ共有プラットフォームの構築
政府や業界団体、サプライチェーン中核企業等が連携して、広範な企業が参加可能なデータ共有プラットフォームの構築や共通データフォーマット等の整備を推進。
(3)CFPの信頼性確保
企業・消費者が安心して活用できるよう、CFP算出・表示に関する具体的なルールや第三者認証の仕組みを整備。
(4)CFP算出へのインセンティブ強化
CFPの低い製品・サービスへのエコポイント付与や公共調達での加点評価のほか、一部製品へのCFP開示義務化・上限設定等の規制。また、GHG排出コストを可視化するカーボンプライシングとの組み合わせも有効。化石燃料賦課金の導入時期を前倒しし、CFPを算出した製品・サービスへの賦課金の一時免除も一案。


(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)
経済・政策レポート
経済・政策レポート一覧

テーマ別

経済分析・政策提言

景気・相場展望

論文

スペシャルコラム

YouTube

調査部X(旧Twitter)

経済・政策情報
メールマガジン

レポートに関する
お問い合わせ