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リサーチ・アイ No.2023-013

欧州のエネルギーインフレは沈静化へ~ロシア産ガスの代替調達を拡充。今年のCPIを▲0.8%下押し~

2023年05月19日 後藤俊平


欧州の天然ガス価格は下落。4月のオランダTTF翌月物価格は、過去の長期平均を上回っているものの、昨年夏場のピークの2割弱の水準まで低下。価格下落の背景として、以下の通り、深刻なガス需給のひっ迫が避けられた点が指摘可能。

第1に、ガス需要の大幅な減少。EU諸国は、欧州委員会が求めるガス消費削減目標(過去5年平均対比15%減少)を概ね達成。記録的な暖冬や景気減速などを背景に需要が抑制されたほか、企業で他の燃料への転換が進んだことも需要を押し下げ。

第2に、ガス供給体制の拡充。欧州各国は、ロシア産を中心に天然ガス輸入を大幅に減らした一方、米国、カタールなどからLNG(液化天然ガス)の受け入れを急ピッチで拡大。加えて、スイスや東欧諸国などに向けた第三国輸出を削減したことで、純輸入量は前年割れを回避。

先行きの天然ガス価格は現行水準近辺での推移が続くと予想。EU諸国はガス消費削減目標を24年3月まで延長することで合意したほか、各国がLNGの受け入れ設備を増強する流れは不変。今後、天然ガス価格が足元の先物価格の水準で推移した場合、電気代などを含むエネルギー価格の安定化が、消費者物価を23年通年で▲0.8%、24年通年で▲0.2%程度押し下げる計算。


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