リサーチ・アイ No.2023-012 サービスが個人消費の回復をけん引― 生活・行動様式の変化による逆風も ― 2023年05月18日 井上肇欧米諸国よりも経済活動の再開が遅れたわが国では、個人消費が依然としてコロナ禍からの回復途上。なかでも、サービス消費がポイントに。足元のサービス消費はコロナ前(2019年)の水準を4%下回っており、増加余地は依然として大。今後も経済活動の正常化が一段と進展することで、飲食・宿泊などのリバウンド需要が個人消費の回復をけん引する見込み。リバウンド需要が一巡した後も、賃上げに支えられ、サービスを中心に個人消費は回復を続ける見込み。試算によれば、実質所得の増加は財よりもサービス消費を押し上げる効果が大。ただし、サービス消費がコロナ前のトレンドに復帰できるかは不透明。経済活動の正常化で先行する米国でも、サービス消費がコロナ前のトレンドに戻っていない状況。この背景として、コロナ禍による消費者の生活・行動様式の変化が指摘可能。米国のサービス消費の内訳をみると、輸送や娯楽の回復に遅れ。リモートワークの定着で通勤生活に戻らない労働者が一定数存在することや、定額制動画配信サービスの普及などにより映画館など娯楽施設の客足の戻りが鈍いことが影響している可能性。こうした状況は日本にも当てはまる面があり、サービス消費の動きは米国と類似する可能性あり。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)