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ビューポイント No.2022-016

ゆとりある育児の実現を ― 子育ての社会化と育休に対する国民意識のアップデートを図れ ―

2023年03月29日 藤波匠


わが国の子育て環境の改善を図るうえで、子育てが基本的に家庭に一任され、とりわけ妻のワンオペとなっている状況から脱却するために、「夫の家庭進出」「子育ての社会化」を図ることが求められる。

まずは、ワンオペ育児を担う女性に最も近い存在である「夫の家庭進出」が重要となる。そのためには、多くの男性就業者が定常的に残業していることを踏まえ、夫の意識改革を図るとともに、企業との連携の下、労働時間の短縮等、労働環境の改善が求められる。同様に、男性の育休取得率の向上、取得期間の延長も必要。岸田政権は、夫婦がともに育休を取得すると所得補償面で優遇される仕組みを、「産後パパ育休」が取得可能な1カ月間に限り導入する予定であるが、期間の拡大も視野に入れるべきである。

「子育ての社会化」に向け、余裕が出てきた保育所の受け入れ枠を有効活用し、子どもの一時預かり機能を充実させ、無職や育休中、時短勤務者でも積極的な利用を促すことが必要である。同時に、ベビーシッターやナニーなどの有資格者を増やし、安心して利用できる仕組みにしたうえで、一時預かりやベビーシッターの利用希望者へのクーポン配布、さらには子育て世帯への家事支援・代行サービスを提供することなどによって、子育て世帯の負担を軽減する取り組みが望まれる。

ゆとりある子育てを可能とする環境を整えると同時に、育休をその後の子どもと歩む人生の準備期間とすることに対して、国民や企業が寛容になり、考え方を時代に即したものにアップデートしていくことも重要となる。

国には、企業と連携して、育休の取得支援や育児サポートメニューの多様化を図ることで、ゆとりある子育て環境を実現することはもちろん、育休後の働き方、収入の確保、家計の見直し、家事分担など、専業主夫・主婦という選択肢を排除することなく、夫婦の多様な選択を多方面から支えていくことが求められる。


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