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2023年03月14日

各位

株式会社日本総合研究所


デジタルヘルスを利活用しやすい社会システムの研究を開始

~ベンチャーはじめ、医薬・医療機器・IT企業などが参画
セルフケアから診療まで幅広い利活用の定着を目指す~



 株式会社日本総合研究所(本社: 東京都品川区、代表取締役社長: 谷崎勝教、以下「日本総研」)は、事務局として運営する「日本デジタルヘルス・アライアンス(略称: JaDHA)」(注1)において、デジタル医療サービス(注2)の利活用促進と開発効率化を支える基幹プラットフォーム構築を行うワーキンググループ(以下「WG」)およびデジタルヘルスアプリ(注3)の適切な選択と利活用を促す社会システムの研究を行うWGを新たに立ち上げ、活動を開始します。
 JaDHAは、これまで患者にセルフケアを促す行動変容アプリなどのデジタル治療の利活用促進に向けた規制改革や診療報酬制度の研究を続けてきましたが、今後は診断や予防緩和なども含めたデジタル医療の研究へと発展させます。また、健康増進や病気の発症防止などで使われるデジタルヘルスアプリについての研究も推進し、付帯サービスを含めた円滑な普及、そして生活者や医療従事者の利活用を促す社会システムの創造を目指します。その上で、利活用におけるデジタル医療サービスとデジタルヘルスアプリの垣根をなくし、生活者がセルフケアから診断・治療などまで自在にメリットを享受できる社会の実現に貢献します。

■背景と活動内容
◇デジタル医療サービスの円滑な利活用に向けた基幹プラットフォーム構築WG
 スマートフォンのアプリを通じて医療従事者による緊密な指導や助言を提供する「デジタル医療サービス」は、症状ごとに最適化された開発が急速に進んでいます。政府・行政機関も開発や実用化を促すさまざまな施策や規制改革を強力に推進しており、多くの医療機関や患者が利用するように発展すると予想されています。しかし、多様なデジタル医療サービスが生み出されることが、むしろ普及の阻害要因となりかねないことも指摘されるようになりました。
 例えば、患者の場合、自分の体調や食事内容、セルフケアの内容を、利用しているデジタル医療サービスごとに入力し直すといった煩雑な操作を嫌い、利用を敬遠するようになるケースが考えられます。
 医療機関でも負担の増大が見込まれます。例えば、医療従事者は、処方したデジタル医療サービスごとに、データについて全てを確認した上で診療方策を立てなければならなくなります。情報システムや事務の担当者には、データ保護やセキュリティ要件の確認をはじめ、インストールやアップデート対応、サービスごとに異なる入金・決裁処理といった新たな負担が発生します。
 また、デジタル医療サービスの提供者はベンチャー企業が多く、セキュリティをはじめ、ユーザー認証やアプリ更新、そして請求・債権回収の仕組みなど、サービスが提供する付加価値以外の部分の技術開発への負担が重すぎることが課題となっています。
 そこで、本WGでは、サービス間でのデータやインターフェースの共有および入金・決済機能の共通化など、デジタル医療プラットフォームの整備の在り方を検討し、患者・医療従事者・医療機関・サービス提供者の手間や業務負担の軽減を目指します。
 また、アプリの競争力の源泉とはならない、基礎的な機能については、デジタルヘルス産業の「非競争領域」の共通プラットフォームとして整備することも検討します。非競争領域の機能をアプリ間で共用化して開発コストを低減させ、サービス提供者が治療効果の高いアルゴリズムやUI/UXの開発にリソースを集中できるようにすることで、デジタル医療サービスの本質的な競争の促進を図ります。
 具体的には、以下を実施します。
・ 医療従事者がデジタル医療サービスを導入・運用し、患者に処方し利用料を支払うまでの一連の作業や役割を描出した上で、過度な業務負担につながり得る課題を抽出する。
・ 患者の利用継続を阻害し得る手間や負担要因を明らかにする。
・ 開発効率化に資する、アプリ間で共通化可能な基礎的な機能を定義する。
・ デジタル医療プラットフォームの要件のほか、接続仕様などの定義、運営主体の在り方などを検討し、社会実装に向けたロードマップ策定や実証検証を進める。

◇デジタルヘルスアプリの適切な選択と利活用を促す社会システム創造WG
 健康増進や病気の発症防止などのために使われるデジタルヘルスアプリは、近年になって急速に開発が進むようになりました。例えば、日常活動や食事、睡眠、服薬の状況を記録・管理・可視化する、生活者のライフログから最適な生活習慣を提案する、など次々と新たな機能が現れており、2020年6月時点で約4万5千種類のデジタルヘルスアプリが存在するとされる状況です(注4)。
 利用方法も多様化が進んでおり、個人の生活者による主体的な利用だけでなく、40歳以上に実施される特定保健指導や人的資本経営や健康経営を推進する先進的な企業での利用も広がっています。
 一方、2023年1月に実施した「ヘルスケアアプリに関する消費動向調査」(注5)では、実際にデジタルヘルスアプリを使用している人の割合は約30%にとどまります。使用しない理由としては、「入力が面倒そうだから」(21.5%)、「使いこなせるか分からない」(14.7%)、「効果が実感できなそうだから」(13.4%)」が上位に挙がりました。また、利用の中止を検討した際の理由で最も多かったのは、「効果が実感できないから」(29%)でした。これらの結果から、分かりやすく簡易な操作性と実感できる効果の提供が、デジタルヘルスアプリの普及と利活用の鍵となることが分かります。しかし、多種多様なデジタルヘルスアプリが存在する中では、利用者がそれらを見極めて適切なものを選択することがこれまで以上に困難になっているのが実態です。
 そこで、本WGでは、一定の基準を満たすデジタルヘルスアプリを認証する制度などを検討し、生活者や企業、産業医・保健師などのニーズに即したものを簡便に選択できる環境の実装を目指します。
 適切なデジタルヘルスアプリを簡便に選択でき、利用を継続しやすい環境を整備することで、一層の普及と利活用を促進し、生活者がセルフケアに未病の段階から取り組むようになったり、開発企業の事業機会を創出したりするための貢献をしていきます。
 具体的には、以下を実施します。
・ 生活者や企業、産業医・保健師などが、デジタルヘルスアプリを選択したり利用継続したりしにくくなる要因について、詳細な分析を行う。
・ 多種多様なデジタルヘルスアプリについて、愁訴や利用段階などに応じた類型を定義するとともに、担保すべき安全性や効果などに関して蓄積すべきデータや評価方法を明らかにする。
・ デジタルヘルスアプリを適切に選択できる仕組み(認証制度など)のほか、関連する標榜標記や広告表現の在り方を検討し、社会実装に必要なロードマップ策定や実証検証を進める。
・ デジタルヘルスアプリで取得したデータを用いることで、症状改善や行動変容等を促す医療機器として製造販売するための承認プロセスを簡素化する可能性を検討する。

■WGの検討体制(リーダー企業、幹事企業)
◇デジタル医療サービスの円滑な利活用に向けた基幹プラットフォーム構築WG
リーダー企業
株式会社asken (https://www.asken.inc/
 わが国における産官学の取り組みの加速により、近い将来に多くのデジタル医療サービスが市場に流通することが予想されています。一方でこれらのデジタル医療サービスには従来の医薬品・医療機器と異なる流通機能が求められており、社会実装に向け検討すべき課題が複数存在している状況です。本WGではデジタル医療サービスに最適な流通基盤の構築に向け、幹事企業の多様性を活かして取り組みを進めます。(法人事業部 医療事業担当 副部長 松尾恵太郎氏)
幹事企業(五十音順)
株式会社NTTデータ (https://www.nttdata.com/jp/ja/
塩野義製薬株式会社 (https://www.shionogi.com/jp/ja/
シミック株式会社 (https://www.cmicgroup.com/
TIS株式会社 (https://www.tis.co.jp/
東日本電信電話株式会社 (https://www.ntt-east.co.jp/
株式会社MICIN (https://micin.jp/

◇デジタルヘルスアプリの適切な選択と利活用を促す社会システム創造WG
リーダー企業
Ubie株式会社 (https://ubie.life/
 デジタルヘルスと呼ばれる分野は非常に幅広く、無限の可能性を秘めています。今回の認証制度の検討では、現状の課題感と将来のあるべき姿についてWG内でしっかりと議論を重ねることで、このデジタルヘルス業界を盛り上げ、人々の役に立つサービスが人々のニーズに寄り添って選択可能となっていくことを目指してまいります。(政策渉外参事 三浦萌氏)
幹事企業(五十音順)
株式会社asken  (https://www.asken.inc/
株式会社Welby (https://welby.jp/
塩野義製薬株式会社  (https://www.shionogi.com/jp/ja/
シミック株式会社  (https://www.cmicgroup.com/
武田薬品工業株式会社 (https://www.takeda.com/jp/
株式会社MICIN (https://micin.jp/

■活動期間
 設立準備:   2023年2月1日~2023年3月31日
 WG活動:    2023年4月1日~2024年3月31日

■JaDHAへのご入会について
 JaDHAへのご入会を希望・検討される場合は、下記ページをご覧ください。
 https://www.jri.co.jp/column/opinion/detail/14046/

(注1)日本デジタルヘルス・アライアンス(会長: 小林義広(田辺三菱製薬株式会社 取締役)、事務局: 日本総研)
 デジタルヘルスに関するサービスや技術の開発などを推進し、国民の健康増進と産業発展に貢献することを目的に設立された研究会。現在、大手医薬品・医療機器メーカー、デジタルヘルスベンチャー企業、大手ICT企業など70社以上が参画。
 「日本デジタルヘルス・アライアンス」設立について(ニュースリリース/2022年3月14日)
 https://www.jri.co.jp/company/release/2022/0314/

(注2)デジタル医療サービス
 エビデンスに基づいた薬機法上の医療機器としての認可を取得している、デジタル技術を活用した製品による医療サービス。AIによる画像診断支援プログラム、ニコチン依存症向けアプリ、小児ADHD向け治療用アプリなど多くの製品があり、診断・治療・予防緩和のほか医学的な障害や疾患の予防・管理・治療などの目的で使われる。

(注3)デジタルヘルスアプリ
 デジタル技術を活用した製品による、健康全般に関するサービス。例えば、運動・食事・睡眠を対象にした健康増進アプリが既に使用されている。

(注4)製薬デジタルヘルス研究会の調査による。

(注5)ヘルスケアアプリに関する消費動向調査
 2023年1月、JaDHAと株式会社メディリード(https://www.medi-l.com/ )が、デジタルヘルスアプリの利活用状況について、全国5,000人の生活者を対象としたウェブによるアンケート調査。

以上

■本件に関するお問い合わせ先
株式会社日本総合研究所
【報道関係者様】 広報部                 山口  電話: 080-7154-5017
【一般のお客様】 リサーチ・コンサルティング部門     南雲  電話: 080-8411-3567
         ※入会に関するお問い合わせは UN_6001.group@jri.co.jp 宛て

 
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