リサーチ・アイ No.2022-082 中国の不動産開発企業向け支援策の効果をどう見るか 2023年02月24日 関辰一中国では、2022年末の不動産開発企業向け融資残高が前年比+5.7%と持ち直し傾向。この主因は、政府の資金調達支援策。昨年11月以降、中央政府は、不動産開発企業に対して銀行借入の拡大や債券・株式の発行を容認する資金調達支援策を発表。銀行借入については、住宅建設工事の停止による混乱を鎮静化するために、政府は金融機関に対して開発企業への返済猶予と融資拡大を要請。本年入り後、優良開発企業に対する一段の融資拡大を要請。もっとも、不動産需要の押上効果は期待薄。住宅需要は、大きく落ち込んだ前年の反動がある程度は生じるとしても、住宅価格上昇期待の弱まりが重石となり、本年もコロナ禍前の水準を大きく下回る可能性大。政府は、かつて一人っ子政策に象徴される少子化推進策で出生数をコントロールしてきたものの、最近は逆に出生率の低下に歯止めをかけることに苦慮。先行き、出生率の低下による人口減少といった構造問題により不動産市場の調整の長期化は避けられない見通し。今回の資金調達支援策は、市場から退出するはずの不動産開発企業の延命を助けるだけに終わる可能性大。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)