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JRIレビュー Vol.1,No.104

日本経済見通し

2022年12月26日 井上肇北辻宗幹


足元の日本経済は緩やかに持ち直している。先行きもリバウンド需要に支えられ、底堅い成長が続く見通しである。賃金と物価も緩やかながら上昇すると予想する。

家計部門では、ウィズコロナの生活様式が浸透していくことで、コロナ禍で抑制されてきた外食や旅行などのサービス消費が回復する見込みである。物価高が家計の購買力を下押ししているものの、コロナ禍で蓄積された過剰貯蓄や政府の物価高対策、賃金上昇が個人消費を下支えする見通しである。

企業部門では、コロナ禍で見送られてきた設備投資を再開する動きが本格化するほか、デジタル化関連や環境関連などコロナ後を見据えた投資も拡大する見込みである。高水準の企業収益が設備投資を下支えする。

海外経済の減速を背景に財輸出は当面伸び悩むものの、水際対策の緩和に伴い、インバウンド需要は回復に向かう見通しである。訪日外国人数は緩やかに回復するほか、円安の影響で一人当たり消費額も増加する。

消費者物価の上昇率は、2023年後半にかけて1%程度へ低下した後、2024年にかけて1%台後半へ上昇する見通しである。円安・資源高の一服に伴い、輸入インフレは落ち着くものの、賃金上昇を伴うホームメイド・インフレ圧力が強まると予想する。2024年に金融政策の正常化が開始され、その第一歩として長期金利の許容変動幅が拡大するとみる。

リスクシナリオとして、円安・資源高が一段と進行した場合、海外への所得流出が増加する可能性に注意が必要である。企業サイドでは、収益が圧迫されることで設備投資や賃上げ意欲が減退するほか、物価高と賃金の低迷で家計の購買力も低下し、景気は大幅に下振れする恐れがある。

円安・資源高による海外への所得流出を防ぐためには、エネルギー資源の輸入依存度を低下させる取り組みが必要となる。円安メリットを享受するために、インバウンド需要に対応するための体制強化も課題となる。物価上昇を上回る賃上げを実現していくためには、労働生産性を引き上げる施策が不可欠である。金融政策の正常化に伴う金利上昇に備えて、財政規律を取り戻すことも求められる。


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