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JRIレビュー Vol.1,No.104

世界経済見通し

2022年12月26日 西岡慎一


足元の世界経済は減速している。エネルギー、部材、労働力など多岐にわたる供給制約の解消が遅れており、高インフレが持続している。インフレ抑制を目的に多くの国で急ピッチな利上げが実施されており、需要面からも景気が下押しされている。

今後、供給制約が解消に向かうことで世界経済は軟着陸すると見込む。2023年の世界全体の経済成長率は2%台後半まで低下する一方、インフレは沈静化すると予想する。インフレ沈静化を受けて、多くの国の中央銀行は利下げに転じ、2024年の成長率は3%台に回復するとみる。

このような標準シナリオに対し、供給制約が予想以上に長引く場合、高インフレと景気後退が生じるおそれがある。なかでも、脱中国・ロシアといったグローバル化の後退は、世界供給網を不安定化させるリスクがある。移民減少などが慢性的な労働力不足を招き、賃金と物価がスパイラル的に上昇する点もインフレ沈静化を妨げるリスクとなる。

高インフレの常態化は、長期金利の上昇と成長力の低下を招き、政府債務を発散させやすくなる。今次局面では、多くの国が財政拡大を伴う物価高対策を実施している。これは、特定分野の価格抑制や低所得世帯の支援には有効であるが、財政が緩和的に運営される分、経済全体のインフレ抑制効果は薄い。インフレ抑制を金融引き締めのみにゆだねるのではなく、緊縮的な財政運営や供給力増強に向けた本格的な取り組みも重要である。


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