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リサーチ・フォーカス No.2022-044

産業ニーズを反映した職業教育訓練を ― ニュージーランドの例に見るその具体像 ―

2022年11月09日 安井洋輔


岸田内閣は社会全体で学び直しを促進するための環境を整備するとしている。しかし、スキルアップを通じた労働移動の円滑化を実現するためには、職業教育訓練の内容が産業ニーズを十分に反映していることが求められる。この点について、産業界のニーズを踏まえた職業教育訓練の再構築を進めているニュージーランド(以下、NZ)の取り組みは参考になるとみられる。ポイントは次の3点である。

第1に、労働力開発協議会が産業の現在および将来ニーズを想定し、職業ごとのスキル標準や国家カリキュラムを作成する点である。職業教育訓練機関はそれらに基づいて各職業に対応する訓練内容を作成するようになる。

第2に、地域スキルリーダーシップグループが各地域における将来のスキルや労働力の過不足の状況を把握し、地域労働力計画を策定する点である。各地域の職業教育訓練機関はこの計画に基づいてどの分野の訓練を重点的に提供していくべきか分かるようになる。

第3に、スキル・技術研究所という単一の国家機関がNZ 全域でOJT とOff-JT の両方を統合して提供する点である。これによって、労働者は、就業形態や、居住地域、OJT・OFF-JT の区別なく、職業に必要なスキルを学びやすくなる。

デジタル化が急速に進むなか、国民の雇用が失われるリスクを真剣に受け止めて、産業ニーズを踏まえた職業教育訓練を労働者に提供できる態勢を整えようとするNZ の改革を参考に、わが国でも、産業ニーズを反映した職業教育訓練を提供できる仕組みを早急に整備する必要がある。


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