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リサーチ・アイ No.2022-042

冬場のエネルギー不足が懸念されるドイツ経済~天然ガス供給10%減なら生産3%下押し~

2022年09月14日 後藤俊平


ウクライナ問題を巡る対露制裁への報復措置として、ロシアはドイツ向けの天然ガス供給を大幅に削減。6~7月にかけて段階的に供給を絞った後、9月に入ってから主要パイプラインであるノルドストリームの稼働を無期限停止に。この結果、ドイツのロシア産天然ガスの輸入量は、前年のわずか1%の水準まで減少。

ドイツは天然ガス輸入の半分近くをロシアに依存。冬場のガス不足への懸念が高まるなかで、政府は需給両面の取り組みを推進。供給面では、ガス備蓄を拡充。国内のガス貯蔵率は88%超に達し、10月の目標を前倒しで達成。ノルウェーなどロシア以外の国との間で天然ガスの追加調達で合意。需要面では、家計・企業のガス消費の抑制。ガス料金の高騰に加えて、政府による節ガス要請などを背景に、8月のガス消費量はEUが求める15%の削減目標を達成。さらに、ドイツ政府は10月以降、ガス利用に賦課金の導入を予定。このような政府の対策は、企業・家計の経済活動を制約する面があるものの、深刻なガス不足は回避されると予想。

もっとも、冬場の天候次第ではガス需給が想定以上にひっ迫する可能性。この場合、政府は家庭や病院、学校、公共施設などにガスを優先的に配分し、産業向けの供給を制限する構え。試算によれば、仮に産業向け天然ガス供給が10%減少した場合、国内生産額は年率▲2.7%減少。エネルギー供給や製造業のみならず、運輸業やサービス業、建設業など産業全体の生産活動を幅広く下押し。


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