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リサーチ・フォーカス No.2022-027

気候関連リスクの影響分析の現状と課題~英欧中銀の気候変動ストレステストからの示唆~

2022年08月16日 大嶋秀雄


近年、世界的にカーボンニュートラルに向けた動きが拡大する一方、気候変動や脱炭素が経済に及ぼす悪影響(気候関連リスク)の把握は依然として不十分。こうしたなか、各国中銀・当局は、ストレステストの手法を用いて、気候関連リスクの金融・経済への影響分析に取り組み。

直近で報告書を公表した英・欧州中銀は、各金融機関が計測するボトムアップ型手法で分析を精緻化し、次のような気候関連リスクの特徴を明らかに。
-金融機関が被る損失は、システミックな危機を招くほどではないものの、軽視できるほど小さくもなく、業態・ビジネスモデルによる差異が大。
-移行リスクは、高炭素排出企業の業績悪化を通じた損失が大きく、景気減速を伴う無秩序な移行の場合、個人の住宅ローン債権も劣化が拡大。
-風水害・熱波などの物理的リスクは、脆弱な地域・産業にバラツキ。

一方、今回のストレステストでは、①気候変動ストレステストに対応できた金融機関は一部にとどまり、同一企業を対象にした損失率予測にも金融機関ごとに大きな乖離がある、②データや分析手法が限られており、移行リスクや物理的リスクを網羅的に把握できていない、といった課題が存在。

気候関連リスク分析の精緻化に向けて、各国に求められる対応は以下。
(1)金融機関の分析能力の強化
金融機関における分析態勢の構築・強化に向けた優れた分析事例の共有、対応が遅れた金融機関のサポート。
(2)データの整備
移行リスクの把握に必要な企業の温室効果ガス排出量の計測・開示、物理的リスクの把握に必要な企業の拠点情報の開示強化。
(3)分析手法の開発
企業の脱炭素戦略の評価手法、既存技術の陳腐化等の移行リスクや山火事等の物理的リスクの経済影響の分析手法の開発。
(4)グローバルな連携
世界全体の影響把握のため、各国が連携してシナリオ分析手法の標準化、実施国の拡大を推進。

(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)
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