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ビューポイント No.2022-006

2022年最低賃金引き上げを巡る論点と今後の方向性-産業別最低賃金活用とデータ・根拠重視が鍵

2022年06月27日 山田久


政府は最低賃金について「できる限り早期に全国加重平均1000円以上を目指す」方針。コロナ禍の影響が薄れてきたことや物価の上昇傾向からすれば、今年も積極的な最低賃金の引き上げが期待される状況。その反面、景気の先行き不透明感が大幅引き上げの懸念材料になってきているほか、現行の決定方式にも綻び。

日本・東京商工会議所の調査によれば、最低賃金引き上げの影響を受ける企業が着実に増加しているなか、設備投資の削減で対処する企業が増えていることが懸念材料。最低賃金の引き上げの必要性は否定しがたいものの、経済環境が微妙な局面に入っているなか、健全な経営をしている中小零細企業が対応できる環境を整備したうえで、最低賃金の引き上げを進めていくことが必要。

本稿の分析によれば、パート労働者の平均賃金に対しての最低賃金の比率が高まることの生産性への影響は、統計的に有意な関係が観測されず。一方で、一般労働者の平均賃金に対する比率では弱いながらもプラスに影響する可能性が観測。最低賃金の引き上げで期待される生産性向上効果はシンプルなロジックでは説明できないほか、パート雇用への影響も微妙な局面に入ってきており、従来の延長線上で躊躇なく引き上げていくことが妥当なのか、疑問符が付く状況に。
ここでの分析に加え諸外国の経験も含め、今後の最低賃金制度の在り方として3点を提案。
①産業別最低賃金の積極的活用…地域別最低賃金は、着実だがやや保守的なペースで引き上げる一方、産業別最低賃金を業界ごとの状況をみて、積極的かつ柔軟に引き上げる。産業別に公労使が集う会議体(「産業別公労使協議会(仮称)」)を政府が仲介して立ち上げ、そこでの労使合意により、産業別最低賃金の決定を目指す。
②産業政策や労働市場政策との一体運営…「産業別公労使協議会(仮称)」において、産業別最低賃金とセットでその産業の実情に応じた産業政策や人材育成・人材マッチングの仕組みを、労使が主体的に議論し、整備する。
③データ・エビデンスに基づく政策決定の仕組みの強化…英国の「低賃金委員会」をモデルに専門委員会を組成し、データ・エビデンスに基づく政策誘導を行う。

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