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リサーチ・フォーカス No.2022-017

金融ウェルビーイングの基盤としての金融教育~英中銀の報告書から得られるわが国への示唆~

2022年06月21日 野村拓也


英国では、2020年1月、政府の外郭団体であるMoney and Pensions Serviceが、国民の金融ウェルビーイング(金融面の幸福・充足)を確保するための今後10年間の戦略をまとめた「The UK Strategy for Financial Wellbeing」を公表。同戦略では、子供や若者への金融教育を一丁目一番地である「金融の基盤」に位置付け、学校や家庭での取り組み強化を提言。

こうした流れを受け、英中銀(BOE)は本年3月、デジタル時代の金融教育のあり方を纏めた報告書「Financial education in a digital world」を公表。金融教育について、これまでの経緯と利用可能なリソースをまとめたうえで、テクノロジーの進展を踏まえた、キャッシュレス決済などの新しい概念の組み込みの必要性、教師や生徒、保護者による金融教育への向き合い方などについて取り纏め。

BOE報告書等から得られる英国の金融教育の現状とわが国への示唆は以下の通り。
①英国において金融教育は、日本の小学校高学年に相当する年次から、数学を含む様々な科目に組み込まれており、報告書では、特に数学と金融教育の親和性の高さを指摘。わが国でも、高等教育での公民や家庭科だけでなく、より低い年次から、数学を含むより幅広い科目での取り扱いを検討する余地あり。

②英国も日本も様々な組織が金融教育のリソースを提供しているが、英国では質を担保するための「Financial Education Quality Mark」制度が存在。わが国でも、リソースの内容の適切性を担保する認証マーク制度の創設や、一覧性のある情報プラットフォームを構築することにより、金融教育の効率性向上が期待可能。

③英国では、テクノロジーの進展を踏まえた新サービスを積極的に金融教育で取り扱っており、BOEや大手行NatWestが提供するリソースでは、デジタルウォレットや暗号資産といったトピックを組み込み。わが国でも、最先端の金融テクノロジーと関連サービスに係るトピックを、適時に取り込んでいく必要あり。

④英国では、デジタルデバイドへの対応の観点から、学校教育において金融教育を取り扱う必要性が高い一方、小学校中学年程度までを中心に、家庭における金融教育も極めて重要であり、保護者にも一定のリテラシーが必要と指摘。わが国においても、学校教育とともに、家庭での金融教育の質を高めることが肝要であり、若年層の親世代に対する金融教育の機会提供も検討すべき。





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