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リサーチ・アイ No.2022-023

正常化に向かう欧州のインバウンド需要 ~入国制限緩和とユーロ安が追い風~

2022年06月17日 後藤俊平


欧州のインバウンド需要に復調の兆し。欧州域内の国際線旅客数は3月時点でコロナ前の7割弱の水準まで持ち直し。先行きについても、欧州のバカンスシーズンである夏場に向けて外国人観光客の受け入れが一段と進むと予想。背景として、以下の2点を指摘可能。

第1に、人の移動の正常化。ワクチン接種完了者であれば、ユーロ圏のすべての国で観光目的での入国が可能。また、過半数の国では入国制限が撤廃され、ワクチン接種の有無にかかわらず自由な入国が可能に。今後、各国で一層の入国手続きの正常化が進む見通し。

第2に、ユーロ安で外国人観光客の購買力が向上。主要国中銀のなかでECBの金融政策正常化ペースが緩やかであることなどを理由に、足元のユーロの実質実効為替レートは歴史的な低水準。円などを除くほとんどの通貨に対してユーロは減価。

インバウンド需要の回復は、観光業の比重の高い南欧諸国に恩恵が大。特にスペインでは、2022年のインバウンド関連収入が5%弱と前年から倍増の見込み。長期化するエネルギー価格の高騰を受けた所得流出が続くなかで、海外からの観光業収入の回復は所得増加要因として期待大。


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