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ビューポイント No.2022-004

子供の就きたい仕事No.1 が「会社員」のわが国でスタートアップを増やすには

2022年06月13日 岩崎薫里


本年6 月に公表された「骨太の方針2022」では、重点投資5 分野の一つに「スタートアップ」が選定され、今後、わが国のスタートアップ促進策は一段と拡充されることになる。その一方で、わが国ではスタートアップを立ち上げようという人が諸外国に比べて圧倒的に少ない。いくら手厚い支援策を用意したところで、肝心の支援先が少ないままでは期待通りの効果を上げることは難しい。

スタートアップの担い手が少ない要因の一つとして、社会全体で安定志向が強いことが考えられる。それを端的に示すのが、子供が就きたい仕事として、起業とは対極にある「会社員」と「公務員」が上位を占めている点である。大学生の間でも、起業希望者はごく限られているばかりか、就職希望先として「安定した会社」が最も人気が高い。

海外に目を転じると、スタートアップの立ち上げが活発な地域では、成功事例がいくつか出てくると、自分にもできるかもしれないとしてスタートアップ設立の機運が高まり、結果として数多くのスタートアップが誕生する。わが国でもメルカリを筆頭に、成功したスタートアップが増えているものの、その数は限られている。根強い安定志向を考慮すると、成功事例を増やすこと自体、容易でないうえ、それに感化されて起業希望者を増やすこともハードルが高い。

こうした状況下で、スタートアップを増やすために考えられる現実的な対応策は次の三つである。
第1 に、起業教育を促進することで、起業意思のない人であっても起業を理解するとともに、実際に起業した人を称賛し、失敗した人をねぎらう、いわば「起業家応援団」を育成する。

第2 に、副業・兼業を促進し、本業を続けながら副業でスタートアップの設立に挑戦する人を増やす一方で、既存企業に所属する従業員を副業・兼業でスタートアップに関与させることで、その成長に貢献する。

第3 に、セーフティネットを拡充し、失敗した場合の物心両面の損失を軽減する。これらの取り組みを地道に行っていくことが、結局はわが国でスタートアップを増やす近道になると考えられる。

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