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地域ニーズを踏まえた専門職確保に向けた取組事例等に関する調査研究事業

2022年04月13日 紀伊信之、石塚渉、高橋光進、森下宏樹、城岡秀彦


*本事業は、令和3年度老人保健事業推進費等補助金 老人保健健康増進等事業として実施したものです。

1.事業の目的
 介護人材等の専門職が不足し、紹介・派遣会社への紹介・仲介料をはじめとした人材採用コストが経営を圧迫している事実が散見される中、介護業界では、効果的・効率的に必要な人材を確保できる仕組みが求められている。
 なお、専門職の確保状況・確保に向けての効果的な手段は地域の特性によって大きく異なっている。そこで、本調査研究は、コストの観点や他の地域への展開可能性も勘案しながら、地域特性ごとに、効果的に専門職人材を確保している取り組み事例を調査し、整理した。

2.事業概要

(1)専門職確保に関する先行事例の整理
 介護・看護の人材確保において特徴的な取り組み事例を整理しつつ、地域における専門職人材の確保に関わる解決策のポイント・仮説を整理した。

(2)地域特性を考慮した人材確保に関する取り組み調査(ヒアリング調査)
 それぞれの地域における専門職確保の取り組みの実態を明らかにするために、都市の規模等で地域を類型化した上で、介護事業所・団体等へのヒアリング調査を行った。

(3)効果的な取り組みの分析
 ヒアリング調査の結果を踏まえ、地域特性に応じた効果的な専門職人材確保の取り組み事例を整理し、これらの取り組みのポイントを分析した。

3.主な事業成果
 地域特性を4つのパターンに分類した上で、9法人・団体へヒアリング調査を行い、その取り組みを事例集としてまとめた。各法人の取り組みを通じて以下の点がポイントとして挙げられる。

①地域内での複数法人との連携
 介護の働き手を増やすことは地域全体での課題であり、個々の企業で取り組むことに留まらず、地域内での複数法人が連携して人材確保を行うことが有効である。地域内で複数法人が連携して、小学生や中学生を対象にした講演会や勉強会などの介護人材の裾野を広げる活動から、大学生や社会人を対象にした合同説明会や実習、インターンまで、対象者の視点に立った多様な取り組みが行われている。

②介護事業所等と行政との効果的な連携
 地域内の専門職人材を増やすためには、施設間の連携だけではなく、行政やハローワークなどの機関と協働で取り組みを企画・運営し、介護の魅力発信や就職説明会を一体となって実施することが重要である。

③街づくりや啓発活動と人材確保施策の結びつき 
 街づくりや啓発活動を人材確保施策と結びつけるためには、地域のイベントや交流会への協力といった施設を知ってもらう取り組みに加えて、地域住民を積極的に採用し、施設で働いてもらうことが必要である。

④保育・障害等他分野と連動した人材確保施策
 保育・障害等の他分野との連携まで広げて人材確保の取り組みを検討することは、職員に多様な働き方の選択肢を提供し、人材の採用や定着を図る上で重要である。

⑤高校・専門学校・大学等との連携
 新卒の人材採用においては、介護・福祉分野の高校・専門学校・大学等や介護業界への就業を確実なものとするとともに、介護・福祉分野以外の幅広い学部・分野からの就業を促進する取り組みが重要である。講演活動や出張講義など学校内の活動への協力から、実習やインターンの受け入れといった学外での活動の支援まで、高校・専門学校・大学等と連携した多様な取り組みが行われている。

⑥外国人材の積極的な活用 
 外国人材を積極的に活用するためには、事前に目的意識の確認や生活面等の不安が解消される説明をした上で入職してもらうことが重要である。受け入れ後は、施設の考え方を共有できる場づくり、日常生活のサポート、研修制度といった支援をする必要がある。

※詳細につきましては、下記の報告書および事例集をご参照ください。
報告書
地域ニーズを踏まえた専門職確保に向けた取り組み事例集

【本件に関するお問い合わせ】
 リサーチ・コンサルティング部門 高齢社会イノベーショングループ
 部長(プリンシパル) 紀伊信之
 TEL:080-1203-5178 E-mail:kii.nobuyuki@jri.co.jp
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