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リサーチ・フォーカス No.2021-058

東証改革への期待と残された課題~上場基準引き上げ等のさらなる改革が不可欠~

2022年03月29日 石川智久


2022年4月、東京証券取引所(東証)は5つの上場市場を3つに再編するなど、大幅な市場再編を行う。この背景にはグローバルな取引所間競争における東証の地位低下がある。再編前の問題点としては、①5つの市場の特性に分かりにくさ、②最上位市場である市場第一部を中心に上場企業数が海外と比べて過大、③市場第一部に小型株が多く上場している結果、TOPIXにインデックス上の歪み、といった3つが主に指摘されていた。

今回の東証改革では、グローバルな企業を対象としたプライム市場、国内企業を対象としたスタンダード市場、新興企業向けのグロース市場の3市場に再編する。これによって、問題点①については改善の枠組みは整った。

一方で、問題点②③への対応は道半ばであるほか、新たな課題も浮上している。これらを整理すると、㋐プライム市場について、上場維持基準の引き上げが限定的であるほか、上場基準未達でも経過措置で当面上場が可能であるため、銘柄削減が進まず、再編前の問題点②③への改革が進展していない、㋑スタンダード市場をプライム市場の格落ち市場としてみている企業が多く存在している、㋒グロース市場では上場そのものが目的となり、その後市場価値が向上しない企業が多いが(上場ゴール問題)、その対応策が不十分である、㋓上場維持基準が引き上げられた結果、経過措置で時限的に上場が認められている上場廃止予備軍が数百社存在しているにも関わらず、上場廃止企業の受け皿が不在である、が指摘できる。

東証活性化に向けては、上場企業というステイタスに安住するのではなく、東証上場企業に対して経営改善に向けた緊張感を与えるため、スケールアップや市場価値向上に尽力する企業を増やすことが不可欠である。そのためにも、今回の再編で一段落させるのではなく、㋐プライム市場においては、上場維持となる時価総額基準を10~20年にかけて数千億円程度まで上げる、㋑スタンダード市場では身の丈にあった経営戦略を実施して市場で評価される企業を増やす、㋒グロース市場では新興企業の経営に緊張感を与える機関投資家向けのマーケティング等を強化する、㋓マーケットメーカー制度等の上場廃止市場の整備、といった改革に取り組むことが重要である。


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