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リサーチ・アイ No.2021-074

ウクライナ・ロシア危機で懸念される気候変動対応への影響

2022年03月04日 大嶋秀雄


ロシアのウクライナ侵攻を受け、日米欧は、ハイテク製品の輸出制限や関係者・中銀の資産凍結、主要行のSWIFT(国際銀行間通信協会)からの排除といった対露経済・金融制裁を発表。現状、資源関連は制裁対象外ながら、天然ガスのパイプラインであるノルドストリーム2の停止、大手石油会社によるロシア関連の事業撤退・取引停止といった動きも。

ロシアは、原油、天然ガスのほか、パラジウム、プラチナ、ニッケル、アルミ等の金属、小麦等の農産品の主要産出国。欧米の追加制裁やロシアの報復への懸念もあり、資源価格は高騰。過去の対露・イラン等への経済制裁が長期化したことをみても、今次制裁の早期解除は考えにくく、また、地政学リスクの払拭が難しいなかでは企業の対露ビジネス再開も困難。今後は、様々な品目で供給不足が強まり、価格高騰が長期化する恐れ。

資源価格の高騰は、短期的にはインフレ率上昇につながる一方、中長期的には、近年高まっていた気候変動対応のモメンタムを削ぐ懸念あり。まず、世界4位の温室効果ガス排出国であるロシアの脱炭素が経済危機で困難化。加えて、他国でも、エネルギー供給不安への対応で、安定供給が可能な石炭等への回帰につながる可能性も。実際、天然ガスの対露依存度が高いドイツは、石炭利用延長を検討。また、パラジウム・ニッケル等の供給不安も、脱炭素投資の制約になる恐れ。

資源高に伴うインフレは、消費者の生活を圧迫し、マインド悪化を通じて政権支持率を押し下げるため、消費者に痛みを伴いがちな脱炭素の推進の足枷になる恐れも。当面は眼前の事態への対応が最優先ながら、温暖化は長期的に経済・社会に甚大な悪影響を及ぼすため、各国には、脱炭素に向けた取り組みを粘り強く進めることが求められる。


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