ビューポイント No.2025-006 地方創生2.0の成功に向けて 2025年05月16日 藤波匠石破首相肝煎りの政策プラン「地方創生 2.0」が動き出す。首相は、「若者・女性に選ばれる地方」の形成と地方創生交付金の倍増を公約している。しかし、10 年前に策定された地方創生 1.0 にも、「若い世代の就労・結婚・子育ての希望を実現する」という理念が明記されたが、昨今の人口移動のデータを見る限り、真逆の「中高年男性に選ばれる地方」というべき状況となっている。東京圏では、コロナ禍でいったん減った転入超過数が再び増加基調となっており、特に若い世代では、コロナ禍前の水準を回復している。「情報通信業」における雇用の伸長が、特に若い男性の流入につながっている。しかし、中高年男性が転出超過となっていることと、産業構造の変化から若年女性の流入が頭打ちの状況にあることは、コロナ禍前と様相が異なる。これまで長く転出超過の状況にあった大阪圏では、2023 年に転入超過に転じた。大阪圏は、大阪中心市街地の再開発や万博を起爆剤に、「卸売業・小売業」や「宿泊業・飲食サービス業」を含む幅広い産業で雇用が増え、とりわけ女性の転入が顕著となっている。足元における大阪圏の転入超過は、先端ビジネスの拠点という特徴が鮮明な東京とは異なった商業都市、観光都市、あるいは製造業に強いという大阪の強みを生かした形で地域経済が伸びていることを意味している。雇用の伸びから見て、東京圏の人口吸引力は依然として強い状況にあり、とりわけ若年層においてそれが顕著であるものの、大阪圏で女性の流入が増えていることからわかる通り、若年世代の移動・定着に雇用の視点は欠かすことができない。各地において、女性・若者の雇用の質的・量的改善に向けた取り組みこそが、「若者・女性に選ばれる地方」の形成を目指す地方創生 2.0 の柱であるという認識が必要であり、雇用の再生に向けた具体的な取り組みが不可欠である。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)