2006年07月31日 |
2006年4~6月期GDP統計予測 |
4~6月期は年率1.6%成長 | |
(1) | 4~6月期のわが国実質GDP(1次速報値、8月11日公表)は前期比+0.4%(年率換算+1.6%)と、6四半期連続のプラス成長となったものの、成長ペースは昨年10~12月期の前期比+1.1%、本年1~3月期の同+0.8%からは鈍化した見込み。 |
(2) | 成長ペース鈍化の主因としては、①天候不順を背景とした個人消費の弱めの動き、②アジア(中国を除く)・米国向けを中心とした輸出のスローダウン、を指摘可能。 もっとも、設備投資の堅調に支えられるなか、前年同期比では2%台半ば(+2.6%)の伸びを確保。 したがって、4~6月期の動きは、「2005年度後半の高成長から、持続可能な成長ペースへ収束していくうえでのスピード調整」と解釈されよう。 |
(3) | 主要需要項目、およびGDPデフレーターの動きは以下の通り。 イ)個人消費(実質:前期比+0.3%、年率換算+1.1%) 2005年度中にみられた強めの伸びに一服感。①気温が前年対比低めで推移、②週末に雨天が集中、などの天候要因が客足の鈍さ、夏物商品の不芳につながったことが主因。株価の不安定な動きが支出意欲を慎重化させた可能性も。 もっとも、雇用者所得の着実な回復が続くなか、個人消費の拡大基調そのものは持続。 ロ)設備投資(実質:前期比+1.3%、年率換算+5.3%) 9四半期連続の前期比プラス。1~3月期の年率2ケタ増の反動影響は限定的に。 企業各社が期待成長率を高めつつ、中期的な経営課題を「後ろ向きの調整」から「グローバル競争での勝ち残りをかけた積極的な事業展開」へシフトさせてきていることが背景。 ちなみに、2006年度の設備投資について、高水準または大幅な増額を計画している主要企業の投資内容を整理すると、①高付加価値分野への「選択と集中」、②開発・育成のための投資増、といった特徴を指摘可能。加えて、製造業では、液晶関連製品の生産能力を増強する動きも目立つ。 ハ)輸出(実質:前期比+0.5%、年率換算+2.2%) 5四半期の前期比プラスとなったものの、プラス幅は大きく縮小。①米国向けが民生用電気機器(AV機器、家電など)、自動車を中心に伸び悩んだこと、②アジア(除く中国)向け輸出が電子デバイス、素材製品を中心に前期比マイナスとなったこと、が主因。 米国景気に減速の兆しが生じるなか、現地向けの最終製品のみならず、生産拠点向けの中間財にも下押し影響が及び始めた模様。 もっとも、中国向けの堅調が最終需要財を中心に続いているほか、4~6月期はEU向けが資本財を中心に増勢を加速。輸出全体の拡大基調は維持。 ニ)GDPデフレーター(前年同期比▲0.9%) 前年比マイナス幅が1~3月期対比0.3%ポイント縮小。輸入デフレーターの2ケタ上昇(前年同期比+11.5%、GDPデフレーターを下押し)が続いたものの、個人消費デフレーターが1998年10~12月期以来の前年比プラス(+0.2%)に転じたことが全体のマイナス幅縮小に作用。国内需要デフレーターは、2004年10~12月期以来のプラス圏に(同+0.1%)。 ただし、個人消費デフレーターのプラス転化は、天候不順を受けた生鮮食品の値上がりが影響している側面も。資源価格高を起点とした仕入価格の上昇を販売価格に転嫁する動きは、依然として限定的と考えられる。
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(4) | 景気の先行きを展望すると、①米国景気のスローダウン、②原油価格の上昇、③緩慢な賃金回復ペース、を背景とした成長スピードの調整がなおしばらく続く見通し。加えて、株価が現行水準近辺で推移する場合は、2006年度の個人消費に対する資産効果が05年度に比べ縮小する形になるため、各種家計負担増のマイナス影響が表面化してくる可能性も。 もっとも、①素材部門の出荷・在庫バランス改善、②各種構造調整圧力の解消などがみられるなか、わが国経済は相当程度のショック吸収力を保持(ハイテクバブル崩壊時、04年の「踊り場」局面とは異なる構図)。こうしたなか、雇用・設備投資を中心とした景気回復トレンドが崩れる公算は小。 引き続き、景気拡張期間の最長記録更新(いざなぎ超え)の可能性は高いと考えられる。 |
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