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工場廃棄物、医療廃棄物  ICタグで追跡・管理

出典:環境新聞 5月11日号

日本総研主催のMATICS 年内事業化目指す

日本総合研究所が主催するMATICSコンソーシアムは、アサヒビールの茨城工場の工場廃棄物、首都圏大手総合病院の医療廃棄物のトレーシングの実証実験を開始した。医療廃棄物のトレーシングで処理コスト軽減効果が実証されるなど既に一定の成果を得ており、今年中の事業化を目指している。MATICSは現在37企業・団体が参加し、医療廃棄物のトレーシングサービスの開発、リサイクルサービスなどのICタグを用いた新ビジネスモデルの開発、特許開発などを行い、ITを活用した資源循環ビジネスを推進していく考えだ。

37企業・団体が参加 

MATICSは「マテリアル・トレーシング・IC・システム」の略で、ICタグを用いた静脈ビジネスの構築を目指す企業・団体が参加している。参加企業は住友商事、アサヒビール、松下電器産業、キャノン、日本マクドナルドなどで、廃棄物処理業を手掛ける市川環境エンジニアリングなども参加している。

産業廃棄物の不法投棄、不適正処理に関する現地リスクが企業でも大きな経営課題となっており、廃棄リスクを低減するためのマニフェストと廃棄物の一体的管理システムが求められている。MATICSはこのシステムを実現するためのツールとしてICタグに着目し、ICタグを用いたトレーシングサービスの実用化に向けた研究・実証を進めている。

ICタグによる廃棄物管理は、様々な所で研究や実証が行われているがあまり普及は進んでいない。この原因をコンソーシアムを主催する日本総研では、「ICタグなどを使用した機器を提供し、排出者に自分で管理してもらうというところが大半のため」(創発戦略センター)と見ている。同コンソーシアムは、「機器を開発するだけでなく、トレーシングサービスとしてシステム化して提供し、管理からコンサルティング的なことまで手掛けていく」ことで他との差別化を図っていく考えだ。

排出者に廃棄物の分別管理などを徹底することを助言し、廃棄量減量化によるコスト削減効果を追及する。「廃棄物の処理費が削減される分、MATICSのシステム利用料を支払ってもらう。うまく廃棄量を削減できれば、サービス利用料を支払っても全体で見ればコストダウンになる可能性もある。更に廃棄リスクの回避もできる」という。

今回の工場での実証は、アサヒビールの茨城工場内の廃プラを圧縮梱包してICタグを添付し、使用上の作業負担、トレーシングの確実性の確認を行っている。また、病院での実証は、首都圏の大手総合病院で院内での医療廃棄物を対象に、ICタグの読み取り実験、処理コスト軽減効果の実証を行った。いずれもある程度の効果は実証されており、今後は病院から搬出され処理場に持ち込まれるまでのトレーシングを実証していく。今年中には事業化に漕ぎ着けられる見込み。

コンソーシアムは基本的にオープンとし、今後参加を希望する企業は受け入る方針で、工場、病院での利用以外でも様々な場面での活用を検討している。

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