コンサルティングサービス
経営コラム
経済・政策レポート
会社情報

メディア掲載・書籍

掲載情報

新エネ相互利用ネット 横浜・金沢区のモデル事業へ研究会が概要示す

出典:電気新聞 2004年7月9日号

荏原製作所、三菱重工業、日本総研、早稲田大学など産学連携による、自然エネルギーの地域相互利用ネットワークシステム開発プロジェクト「エコエネルギーウェブ研究会(EEWK)」(代表企業=荏原製作所)はこのほど、横浜市内でシンポジウムを開き、横浜市金沢区に設置予定のモデル事業の概要について詳細を明らかにした。今年中に全体計画を決定し、2006年には横浜市立大の周辺で1000キロワットのネットワークを構築、2008年には金沢シーサイドライン沿いに区内を縦断するかたちでネットワークを完成させる。シンポジウムではEEWKのアドバイザーを務める柏木孝夫・東京農工大大学院教授が講演し、分散型エネルギーの発達による新ビジネスモデルが、来年から日本でも立ち上がる卸電力取引市場を軸に急激に発展すると説明した。 EEWKは、熱および未利用エネルギーを最大限活用し、地元のエネルギーは既存の電力会社に頼ることなく地元ですべてまかなうネットワークの構築を目的にしている。太陽電池、風力発電、廃棄物発電、燃料電池を電源とし、コージェネレーションや蓄電池、バイオマスなども組み合わせ、IT技術を通じて地域に熱と電気を供給する。
金沢区の計画は、横浜市や環境省も全面的に協力。06年に横浜市大を中心とした地域に燃料電池とガスコージェネを導入した第1弾のネットワークを構築する。さらに07年にかけて幸浦地区の廃棄物処理場の周辺地域にバイオマス発電や燃料電池を使った1万7000キロワットのネットをつくり、08年には八景島シーパラダイス地区に風力発電や太陽電池も加えたネットワークをつくる。最終的にはこれら3つの地域のネットを結び、金沢シーサイドラインを沿うように区を縦断する分散エネルギーネットワークを構築する。
また、EEWKでは、これらの技術を他の国内地域で実践していくことも視野に入れ、地域ごとに最適なネットワークの構築を図るための設計図をつくるコーディネーター育成も近く本格的に始めることを明らかにした。
一方、柏木教授は、今後の電力需要の伸びが年率0.9%と過去30年間の平均伸び率の4分の1に落ち込むことが予想されていることから「分散電源の設置による電源確保が進み、従来の電力ビジネスがかたちを変えるのは不可避」と断言。それが電力会社にとっても設備投資の圧縮と既存設備の稼働率向上につながるとメリットを強調した。
そのうえで、「企業などの電力需要家が省エネにより削減できたエネルギー費用を新エネ導入の費用に投じることが期待でき、さらに電力取引市場を通じた売電により、新ビジネスが生まれる」と語った。

 

メディア掲載・書籍
メディア掲載
書籍