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シーズをつかめ シンクタンクが提案する再生への処方せん
付加価値追求して市場参入

出典:日刊建設工業新聞 2004年5月31日号

民間開放は必然の流れ



提案力が生き残りの鍵



――PFIをはじめとする民活手法も定着、公共市場の民間開放が本格化しつつある。
「PFI法が成立してほぼ5年。実施方針が策定されたものまで含むとこれまでに140件程度の事業にPFIが導入されている。しかし、これはまだまだ公共事業全体でみれば1%の世界。マーケットと言えるほどの規模ではない。つまり、現状では公共側が都合のいい案件しかPFIにしていないということでもある」
「PFIは構造改革の一環として導入された。なぜ構造改革が必要なのか。財政問題や官から民への流れが構造改革の目的だという意見もあるが、これは違う。構造改革とは公共の選択と集中を実現させるためのものだ。年金問題や環境、福祉問題など公共でなければできないことを限られた財源でいかに充実させるかが今問われている。そのために民間でできることは民間に任せようというのがPFIをはじめとする民間開放だ」

 ――PFIはさらに進むのか。
「公共投資そのものが減るのだからハコモノを中心とするPFIには長期的には大きな伸びは期待できない。しかし、アウトソーシングや民営化を含めた民間開放は必然的に増えるはずだ。自治体の財政はあと5年で間違いなく危機的な状況を迎える。財政破たんを未然に防ぐためにも民間の創意工夫、市場原理を早期に取り入れるざるを得ない」
「PFIの導入を妨げる要因として価格偏重の入札・契約制度がある。現行の制度は直営工事の名残と言ってもいい。少なくとも事業者を段階を踏んで絞り込めるような仕組みにすべきだ。例えば最初に大まかな条件だけを提示し、事業者を数社に絞り、この数社と具体的な交渉を行い、その上で最終的な事業者を決める。こうした仕組みにすることで、より質の高い事業者を選ぶことができる。制度を見直さないのは行政の怠慢以外の何物でもない」

 ――どういった分野で民間開放が進むのか。
「メンテナンスが必要な機械設備関連、IT分野、労働集約的な事業、維持管理を主体とするライフサイクルマネジメント分野で民間開放が進むだろう。建設会社は公共工事を増やしてくれとお願いするだけでなく、こうした分野にどうかかわれるかを真剣に考える必要がある」

 ――公共市場に参入する企業に求められるものとは。
「リスクを取る潔さと、提案力だ。リスクを恐れずに、潔い提案をしてほしい。これからは付加価値を追求する企業と、徹底してコストを追求する企業しか生き残れない。公共マーケットに参入するのは付加価値を追求する企業だ。これまでのように待ちの姿勢で仕事をするのではなく、自らの提案力で仕事を取る姿勢が大切なのではないか」。

 

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