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成長株は環境ビジネスの”コーディネーター” 2003年、注目のビジネスモデル

出典:環境ビジネス 2003年12月号

技術開発、実りの年
日本経済にも明るい兆し

2003年の環境ビジネスのキーワード、それは「新技術」です。
2002年から2003年にかけ、燃料電池を始めとしたエネルギー、あるいはバイオ、ナノテクノロジーの分野でたくさんの革新的な新技術が実現に向けて動き出しています。どれをとっても、大きな市場へ発展する可能性の高いものばかりです。そうした意味で私は「これから、100年に一度の革新技術の時代」になると思っています。
日本経済の先行きを不安視する人も多いですが、過剰債務の処理さえ誤らなければ、2010年までには経済も立ち直り、さらなる発展を遂げることができると確信しています。
特に環境分野では、エネルギービジネスに期待を寄せています。何より30兆円という市場規模は魅力的ですし、エネルギーというのは、品質が安定しており、ビジネスのアウトプットを認知しやすいことが注目することのできる理由です。
電力の自由化が1995年にスタートし、最近では風力発電も盛んになってきています。さらには燃料電池の技術開発が急ピッチで進められていることで、電力をプールすることも可能になります。
これまでも自然エネルギーを活用するための技術は存在していました。しかし、化石燃料を減らすために自然エネルギーを使用するにもかかわらず、化石燃料や原子力発電の巨大なプールがあるからこそ使うことができる、という矛盾を抱えていました。この矛盾も燃料電池の登場で解消することができ、いよいよ自然エネルギーの時代が到来するのではないかと思います。

リサイクルビジネスの難しさ
捉えるべき本質論

ここ2年~3年は技術のターニングポイントだったと同時に、国民一人ひとりの「自立意識が高まった時代」であるとも考えています。
これが環境面でも影響を与えるようになってきています。法律で決められていなくても、環境面にお金をかけるようになってきた。我々が手がけてきたISV(電気溶融処理技術)を例にとれば、1997年から1998年頃は「コンクリートで固めて捨ててしまえば良いんじゃないの?」という考えが主流でした。ところが現在では、環境のリスクにとても敏感になっており、たとえコストがかかっても、将来起こりうるリスクの回避を考える企業が増えています。たった5年で、これだけの意識変革が起こっているのです。
一方、当初期待を集めていたリサイクルビジネスには難しさも見えてきています。例えば、食品残渣をコンポスト化し、提携農場の畑で使用しているホテル・ニューオータニのリサイクルの取り組みは優等生と言えます。しかし、ニューオ-タニが成功しているのは「クローズドサイクル」だからです。一般のマーケットのような「オープンサイクル」の中では、ニューオータニのような高度なリサイクルを実現させるのは難しいでしょう。オープンサイクルで成功させようとするならば、監視可能なネットワークをいかに構築していくかが、大きな課題となります。
リサイクルビジネスを取り巻く環境を見えにくくしている原因の1つは、本質論がきちんとできていないことにもあります。本来、3R(リユース・リデユース・リサイクル)が循環型社会の基本理念に据えられていますが、日本では、リユース・リデユースの部分がなおざりにされ、リサイクルばかりが目標にされていることが少なくありません。
自動車市場を例に見てみましょう。今の市場は新車か中古車しかなく、その間を担う部分が欠けています。自動車は、たとえ廃車にするにしても、全ての部品が壊れているわけではなく、中にはまだ使える部品もあるわけです。ところが、リユースのルートが十分に構築されていないために、使えるものまで廃棄してしまうことになってしまっているのです。
 

社会を動かす国民の感性
「矛盾」は長続きしない

世の中は、結局あるべき方向に向かっていくものです。矛盾は長続きするものではありません。ですからビジネスの成功のためにも、持続可能な社会を実現させるためにも、3Rの本質を追求するべきなのだと思います。
そして、”矛盾”を解消するのは、役所でも、学者でも、大企業でもありません。一番大切なのは、国民1人ひとりの「おかしいな」と思う感性なのです。
実際「こうしておいた方が良いよね」というものが、ここ数年、ビジネスとして成長しています。省エネビジネスはもちろん、汚染処理なども、本質的なニーズを背景として発展したビジネスといえます。
また最近、多くの会社で「環境ソリューションビジネス」という名のもとに商品・サービスを提供し始めています。汚染処理の分野でも、さまざまな技術やリサイクルとのコーディネーションが盛んになっています。このように、物事を俯瞰的に見ることのできる環境コーディネーターとしての役割を担う人材が、今後あらゆる分野のビジネスで重要になっていくでしょう。

ビジネスを成功させる
3つのポイント

これらのことから今後の環境ビジネスの展望を考えた時、本来、ビジネスのあるべき方向を目指していることが大切です。また、マネジメントビジネスやハード系ビジネスの発展と差別化が必要となるでしょう。今後、新たに環境ビジネスに参入しようと考えた場合、こうした点を踏まえることが重要です。
国の行う政策だけを見てビジネスに参入しようとすると、過当競争に巻き込まれるかもしれません。政策は事業のための重要な要素ですが、ビジネスの方向性と一致するとは限りません。そうではなく、本質的なニーズを捉えて、本来あるべき方向を進むことが重要なのです。
私は、リサイクルは代替手段だと考えています。リサイクルペーパーは森林には良いけれど、エネルギー効率を考えた場合には必ずしも良くない、というように、リサイクルには負の面もつきまといます。ですから、リデュース、リユースを徹底的に行ってごみの量を減らし、それでもどうにもならない部分をリサイクルすることが本来の形態なのです。
環境ビジネスの分野は、毎年技術がめまぐるしく発展しています。今は「まさか?」とか「実現不可能」と思っていることが、2年後、3年後には実現しているかもしれません。ですから既成概念にとらわれず、先を見据え、新しいことをどんどん考えていかなければならないと思っています。

環境ビジネスの展望(3つのポイント)
・本来のあるべき方向を目指しているビジネスが成功
・マネジメントビジネスの発展
・ハード系ビジネスは差別化が必要

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