PFIが創る環境事業官民協働の地域インフラ:地域活性化
(2)環境面での市町村評価を
出典:日本工業新聞 2002年9月3日
認証は10%未満
PFIが環境行政に積極的に活用されるには、まず、自治体が環境対策に理解を示し、活動を活発に展開していくことが重要となる。ところが、全国的にみて自治体の環境対策は、十分に進んでいるとはいえない。例えば、国際環境管理・監査資格「ISO14001」の認証を取得した市町村は全国のまだ10%にも満たない。このような状態を打開するには、「市町村の自発的な取り組みを促進する仕組み」の構築が有効である。具体的には、次の2つの仕組みだ。
(1)「環境への取り組み」の進捗度を測る仕組み
(2)「環境への取り組み」を進めるインセンティブを確保する仕組み
まず、進捗度を測る仕組みとは、「環境への取り組み」についての一定の評価項目を作成し、各市町村における取り組み状況を項目ごとに比較する仕組みである。これが可能になれば、市町村が取り組みの内容や目標を設定する際に役立つと期待される。また、同様の評価軸で、市町村間の取り組みを比較できれば、取り組みの遅れている市町村が進んでいる市町村の取り組みを参考とすることが可能となる。
次に、インセンティブの確保をどうするかについて、具体的に考察する。平成14年2月に日本総合研究所が実施した「地球にやさしい自治体ランキング」調査結果(表参照)をみると、三重県や神奈川県などの上位の都道府県よりも、相対的にランクの低い都道府県の方が、自然環境が豊富で「環境が良い」というイメージが高い。これは、「自然環境の良し悪し」と「環境に対する取り組みの進捗」は全くの別物であるからだ。この先入観の根強さが、環境政策の現場職員のインセンティブを低下させ、市町村における自発的取り組みが進まない一因になっていると考えられる。これを解決するには、すでに述べたように、一定の評価軸を環境政策という観点から構築し、その評価軸で各市町村の取り組みを評価した上で、評価結果を公開することが有効である。評価が高い市町村を表彰するのも一案だろう。
都道府県が適任
このように(1)、(2)の仕組みが市町村の自発的な取り組みを促す。では、誰がこの仕組みを構築して、誰が運営していくことが妥当かそれは、市町村を取りまとめてきた過去の実績があり、地域の合意形成システムを進めてきた立場として1日の長がある都道府県が適任であると思われる。とはいえ、管内に相当数ある市町村があるため、きめ細かな運営が難しいケースも多いだろう。その点、インターネット上で仕組みを構築すれば、運営作業を軽減できる。インターネットは「一対多」のコミュニケーションに有効なだけでなく、情報の公開性においてもその効果を発揮し、地域の環境政策に関する合意形成も効率的に進められる。
市町村全体の「環境への自発的取り組み」が進すれば、今度は市町村が牽引者となり、地域の中小企業、商店街、農家、学校というあらゆる事業体の「自発的取り組み」が進むことも期待できる。