コンサルティングサービス
経営コラム
経済・政策レポート
会社情報

メディア掲載・書籍

掲載情報

PFIが創る環境事業官民協働の地域インフラ:バイオエネルギー 
(9)遊休施設で産廃処理

出典:日本工業新聞 2002年9月3日

前回までに述べてきたように、農村地域のバイオエネルギー、特に発酵処理によるバイオガス事業が公共事業として実施される意義は大きい。しかし、自治体としては財政負担をできるだけ軽減する必要がある。そのために最も有効な方法は、サービス購入型といわれるPFIもしくはそれに準じた事業方式だ。サービス購入型とは、公共が行うサービスを民間が実施し、公共がこのサービスを購入する仕組みである。この方式を利用すれば、民間による事業の改善により、財政負担を軽減できる可能性が高い。
 
PFIもしくはそれに準じた方式の代表例は、BOT(Build Operate Transfer/建設・運営・譲渡)、BTO(Build Transfer Operate/建設・譲渡・運営)、DBO(Design Build Operate/設計・建設・運営)である。どの方式も、施設の設計・建設から運営までを性能仕様に基づき、一括して民間事業者が請け負うため、民間の事業ノウハウを生かした効率的運営が行いやすい。さらに、運営業務の簡素化による効率化も期待できる。
 
また、BOT、BTOは、ともに公共事業に付随して新たな民間事業を行うことが可能だ。公共からの安定した処理委託費収入のほかに、営利目的の民間事業によって収入を得ることができる。例えば、家畜ふん尿の処理の施設で、食品工場などからの有機性産業廃棄物を受け入れて処理委託費を得るということが可能となる。


具体策は2つ

有機性産業廃棄物の有効利用には2通りの方法がある。1つは、今後の農家戸数の減少に伴う家畜ふん尿の減量に対応した産廃投入である。家畜ふん尿が減少すれば、施設の中で有効活用されない“遊休部分”が生じる。その部分で有機性産業廃棄物を処理すれば、民間事業者が自ら有効利用していることになる。その結果、公共は遊休部分の維持管理費を処理委託費として支払う必要がなくなるという仕組みである。もう1つは、有機性産業廃棄物の処理を見込んで、施設規模を大きくする方法である。公共関与の産廃処理施設は事業の破たんの危険性が少なく、確実な処理が可能なことから、産廃が安定して集まりやすい傾向にある。このため、事業者は収益を手堅く確保できることが予想される。

PFIも補助を

これに対し、DBOは、施設建設費を公共が調達するため、投資リスクを民間が負わない。また、民間の金融機関の金利に比べて安く資金を調達できる。このため、BOTやBTOに比べて公共の財政負担が小さい事業に適した方式である。産廃の受け入れを伴わない場合は、DBOの方が財政負担を軽減することが可能になる。これまで、農林水産省は、バイオエネルギー事業を行う場合、PFIを補助対象としていなかった。そのため、PFI方式を採用すれば事業を効率化して、コストダウンすると分かっている場合でも、 PFI方式が採用されることはなかった。しかし、今年に入って行政改革の進展により、PFI事業も補助対象となる可能性が高まってきた。年度内にはバイオエネルギー事業におけるPFI案件の第1号が誕生することを期待したい。

メディア掲載・書籍
メディア掲載
書籍