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流通・マーケティングのキーワード
~本格化するワン・トゥ・ワン・マーケティング~

出典:日本経済新聞社「日経フレッシャーズ大事典」 2000年3月

ポイント

◇個々の顧客の好みに合わせて商品やサービスを提供vすることです。
◇データベース技術や顧客コミュニケーション技術が必要です。
◇インターネットの普及で、さまざまな手法が開発されています。 

●個別顧客への対応

 ワン・トゥ・ワン・マーケティングとは、一人ひとりの顧客から、それぞれの要望や好みを聞き出して、それらの情報を社内にフィードバックすることで、各自の好みに合わせてアレンジした商品やサービスを、それぞれの好むタイミングで提供することです。
 
 これまでのマス・マーケティングは、多数の顧客の好みに合わせることで、商品からの収益を最大化することを目指します。それに対して、ワン・トゥ・ワン・マーケティングでは一人の顧客から得るトータルの生涯利益を最大化することを目標とします。「市場シェア重視」から「顧客シェア重視」への転換ともいえます【図表1】。 
 

【図表1】 マス・マーケティングとワン・トゥ・ワン・マーケティング 

 
(出所)日本総合研究所 

 
 ウェブを活用したネット通販や、電子メールを活用したマーケティングの手法は、日進月歩で進歩しています。「リマインダー」などの手法は、フラワーギフトや玩具ギフトあどのギフト分野で有効に利用されています。
 また、日本独特の手法として、iモードなどの携帯電話を媒介としたワン・トゥ・ワンの情報提供や商品・サービスの販売が急速に進展しており、世界をリードする勢いになっています。     

●情報技術の活用がポイント

 この考え方自体は、決して新しいものではありません。昔から酒屋さんやホテルマンは、重要顧客についての個人情報を把握し、それぞれの顧客に合った商品やサービスを提供していました。こうした従来型のマーケティングとワン・トゥ・ワン・マーケティングの最大の違いは、情報技術の活用です。情報技術の分野としては次のものがあります。

(1)データベース技術
 顧客の膨大な購買データなどを蓄積し、再利用可能な状態にすることが重要です。収集データとしては、顧客プロフィール、購入履歴、問合わせ内容、クレーム内容などです。こうしたデータ収集のしかけをデータウエアハウスと呼びます。またそれらデータを分析して戦略活用することをデータマイニングと呼びます。

(2)顧客コミュニケーション技術
 顧客の好みや要望を聞き出すための「場」づくりが必要です。インターネットの掲示板や電子メールの活用などが顧客コミュニケーションのツールとして有効です。また、顧客との間での対話能力も必要です。対話の中から顧客の要望に気づき、それを実現するための行動が供給側に求められます。    

●インターネットの普及が引き金に

 ワン・トゥ・ワン・マーケティングは1990年代初頭に提唱されたものですが、当時は実現するための環境が整っていませんでした。しかし1990年代後半に入りインターネットが急速に普及するのに伴い、ワン・トゥ・ワン・マーケティングも大きな注目を集めるようになりました。
 したがって、顧客との関係は単なる販売・取引の関係ではなく、提携企業と顧客との友好的な深い関係づくりが大事になります【図表2】。 
 

【図表2】 インターネットによるワン・トゥ・ワン・マーケティングの手法 

  
(出所)『週刊ダイヤモンド』1999年11月06日号

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