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適切なケアマネジメント手法の策定に向けた調査研究事業

2017年04月10日 齊木大福田隆士


*本事業は、平成28年度老人保健事業推進費等補助金 老人保健健康増進等事業として実施したものです。

調査目的
 高齢者が要介護者等になっても尊厳を持って生活を送るためには、できる限り住み慣れた地域での生活を継続できるような環境を整備することが必要である。そのためには、高齢者の状態とニーズを踏まえて、介護サービス、保健医療サービス、インフォーマルサービス等が総合的に提供されることが求められ、ケアマネジャーには、その環境整備に資する適切なケアマネジメントが期待される。
 本調査研究は、ケアマネジメントの標準化に向けた基礎資料の一つとすることを目的として、ケアマネジメント手法の適切化・標準化に向けた論点の明確化と、モデル的なケアマネジメントにおけるアセスメントやモニタリングの方法と考え方を整理した。

調査研究の概要
 ケアマネジメントは本人および家族の状況を踏まえて個別的に実施されるものだが、要介護認定の原因となった疾患等に着目すれば、ある程度、共通的に必要と考えられる支援内容を整理できると考えられる。一方、ケアマネジメントは生活全体を捉えるため、取り扱う範囲は極めて広い。
 そこで本検討では、ケアマネジメントの標準化に向けた第一歩として、要介護認定の原因疾患として挙げられる割合が大きく、かつ医療の分野において地域連携パスの整備と活用が進んでいる疾患である脳血管疾患と大腿骨頚部骨折に着目した。具体的には、それら疾患を原因疾患とする要介護高齢者に必要と考えられる支援内容およびその検証にかかるアセスメントとモニタリングの項目について検討を行っている。

結果とまとめ
<検討結果>
 対象となる要介護高齢者に想定される支援内容を「項目一覧表」として整理し、その概要を理解し必要性を検証するためにアセスメントあるいはモニタリングにおいてケアマネジャーが確認すべき事項を「検討案」としてまとめた。

 本検討案は利用者別に、以下のような活用を想定している。

○ケアマネジャーによる活用
・数カ月に一度、ケアマネジメント実践の振り返りのため(経験豊富なケアマネジャー)
・都度、情報の収集・分析、検討の抜け漏れ防止のため(初任段階のケアマネジャー)

○OJT指導担当者による活用
・初任段階のケアマネジャーが「何を分からないでいるのか」「何につまずいているのか」を把握し、適切な助言や支援を提供するため

○地域包括支援センターにおける活用
・ケアマネジャー向けの相談支援や研修、地域ケア会議等の場面において、情報収集や検討の視点を共有するため

○自治体における活用
・高齢者の生活を支えていくために必要な社会資源を整備する上での基礎資料とするため

<まとめ>
 本調査研究では、「ケアマネジメントの標準化に向けた概念の整理」と、「一定の条件下において想定される支援内容と知識の整理」を実施した。ケアマネジメントが取り扱う領域は極めて幅広く、本検討では検討の第一歩としてまず2つの疾患に着目した整理を行ったものである。
 本検討を通じて標準化に向けた概念の整理と、検討案のとりまとめを行うことができたが、検討案の細部の内容の検証や、他の疾患についても同様の整理を実施するかについては今後の課題である。

※本調査研究事業の詳細につきましては、下記の報告書本文をご参照ください。
適切なケアマネジメント手法の策定に向けた調査研究事業 報告書(PDF:3924KB)


本件に関するお問い合わせ
・創発戦略センター シニアマネジャー 齊木 大
 TEL: 03-6833-5204   E-mail: saiki.dai@jri.co.jp 
・リサーチ・コンサルティング部門 シニアマネジャー 福田隆士
 TEL: 03-6833-5201   E-mail: fukuda.t@jri.co.jp
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