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【子どもの声を聴いて動いた研究員のココロ】
第1回 導入

2026年05月20日 村上芽


1.企業が子どもの声を聴くこと
 一般に、企業が子どもの声を聴くことによって、中長期・短期、リスクと機会の各側面で経営への好影響を生み出すことが期待できる(※1)。同時に営利企業において、子どもの声を聴くことの最終目的が自社の短期的な利潤の最大化になることは許されず、倫理的に、持続可能な社会・経済の構築につなげなくてはならない。
 ところが現実には、子どもに限ったことではないが、企業も行政も「都合よく個人の声を聴く」「自らの意思決定のためのバックデータを示すために作為的に声を集める」など、ポーズだけ、格好だけで何も変わらない、といった批判もある。
 重要なのは、どんな声があったかという事実の記録や分析、発信以上に、その声を聴いた人がそのあとどうしたかということ、すなわち、「声を聴く」ことが生み出すアウトカムだと言える。アウトカムには、製品・サービスの設計に生かす、企業としての戦略策定に生かす、働き方の改善に生かすなどさまざまな方向がある。ただ企業がなんらかの製品・サービスを生み出して社会に提供する組織である以上、「製品・サービスにどう生かすのか」が最も重視されるべきである。

2.シンクタンク・コンサルティング事業において子どもの声を聴くこと
 では、日本総合研究所(以下、日本総研)の、シンクタンク・コンサルティング部門(以下、当部門)のように、分かりやすい製品・サービスのない事業では何に注目すべきだろうか。
 当部門の研究員が、「子どもの声を聴く」仕事の場面は、大きく2種類ある。1つ目は、顧客(政府機関や企業等)から受託する調査・コンサルティングプロジェクト、あるいは日本総研の自主研究のなかで、子どもの声を聴くことを明示的に業務内容に含めるケースである。例えば、自治体が主催する子どもを含む市民向けワークショップの開催支援や、福祉政策の対象となる子どもたちの現状把握を目的とした調査があるほか、企業が子ども分野での新規事業を検討する場合の市場調査の一環として、たとえば子どもの時間の過ごし方などをヒアリングすることもある。最近では、自主研究として「プライバシーの未来と子ども」をテーマに子どもの声の聴き方に着目した例もある。
 2つ目は、日本総研からみるとコンサルティング活動外に分類される、学校等の依頼に応じて研究員が授業や講演を行ったり、子どもが参加するコンテストの審査員を引き受けたりするケースである。1つ目と比べると短期的かつ個人ベースの活動がほとんどだという性格がある。
 このような方法で、子どもの声を聴いた経験のある研究員は少なからずいる。しかし、1つ目のようにプロジェクトに子どもの声を組み入れている場合には、きちんと聴いて取りまとめないことには業務として成立しないが、それが次のプロジェクトにつながるかどうかは分からない(顧客の事情が大きい)。2つ目の場合はもともと個人ベースの活動が多く、共有機会が少なかったというのが実情である。

3.研究員のココロがどう動いたか
 そこで、「点々」になりがちがったこれらの活動を通し、シンクタンク・コンサルティング業務に携わる研究員が、子どもの声をどのように感じてきたのか、仕事の経験として何を得たのか、あるいは、声を聴かせてくれた子どもに何か返せていると感じるか、などを集めてみることにした。子どもの声を聴くことによる解釈の可能性を整理することで、今後、「傾聴と対話」をパーパスに含む当部門(※2)に限らず、子どもの声を聴いてよりよい組織運営を行おうとする企業関係者、政府関係者の役にたてることを期待して、「研究員のココロがどう動いたか」シリーズを始めることとしたい。
 1回目は、玉川大学観光学部が2021年より実施している、「高校生まちづくりコンテス ト」に対する支援を取り上げる。未来社会価値研究所の村上と前田が、支援を続けてきた理事の山田の話を聴いていく。

(※1) 詳細は村上[2026]「企業が子どもの声を聴くことの意味」JRIレビューVol.6, No.133
(※2) 詳細は株式会社日本総合研究所会社案内 P6~7。


※記事は執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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