コンサルティングサービス
経営コラム
経済・政策レポート
会社情報

経営コラム

オピニオン

大企業のOB/OGのキャリア意識の現状

2026年03月10日 小島明子


 総務省が、昨年の「敬老の日」(9月16日)を迎えるに当たって、統計からみた我が国の高齢者のすがたについて取りまとめたレポート(※1)では、65歳以上の就業者数は、21年連続で増加し930万人と過去最多、就業者総数に占める65歳以上の就業者の割合は13.7%と過去最高であることが示されています。日本の65歳以上の就業率は、諸外国の中でも、韓国に次いで高い水準となっています。

 厚生労働省プレスリリース(※2)によれば、令和7年6月1日時点で、65歳までの定年制を設ける企業は219,552社、65歳超の定年を設ける企業(定年制の廃止含む)企業は18,187社です。65歳超の定年を設ける企業(定年制の廃止含む)企業のうち、従業員数301人以上の企業は全体の1.8%、21~300人の企業では98.2%となっており、従業員数が多い企業ほど、70歳まで働ける環境を整備している企業は少ないことがわかります。

 日本総合研究所では、そのような現状を踏まえて、東京圏(神奈川県、埼玉県、東京都、千葉県)に住む60歳以上、現在職に就いていない、従業員数1,000人以上の企業の退職者で、最終学歴は、大学卒業または大学院修了の方を対象に「東京圏に住む大卒以上の元大企業のOB/OGを対象にしたキャリアに関する調査」(※3)を実施しました。

 本調査によれば、約7割の元大企業のOB/OGは、再就職の意欲がないことが明らかになっています。一方で、定年後、再就職活動をしたことがあるか尋ねたところ、「再就職の相談をした」「再就職活動をしたことはない」がともに半数近くで拮抗しており、また活動した人の多くは雇用支援機関をはじめとした団体に相談していることがわかりました。この結果を踏まえると、定年時点で、再就職の意欲がなかったわけではなく、自分に合った仕事が見つからなかったことで、再就職活動を行う意欲を失ってしまったのではないかと想像します。
 また、同調査では、将来の不安について尋ねたところ、「病気になってしまうこと」との回答が6割を超えて最も多く、次いで「自分が認知症・寝たきりなど介護が必要になること」を半数近くの回答者があげています。自由意見をみても、経済的不安や物価高、年金の不足に対する意見が少なくありません。
 これらの結果から、大企業においては、従業員に対して、定年前からのキャリアシフトを支援することが、より求められると感じます。長年築いてきたスキルや経験を今までとは異なる職場で活かすことができ、生きがいや働きがいをもちながら、健康な気持ちで働ける元大企業のシニアが増えることは、社会全体にとっても大きなメリットだといえます。

 最後に、筆者自身は、労働者協同組合に関わる研究等の活動に関わるなかで、労働者協同組合の立ち上げをされた元大企業出身のシニアの方からお話をお伺いする機会を昨年いただきました。求人のなかに自分に合う仕事がなければ、仲間と一緒に、自分が関心のある分野で自ら仕事を作るという労働者協同組合の設立も選択肢の1つといえます。日本社会において、労働者協同組合はまだ十分に認知が広がっているとはいえませんが、より多くの方々への認知が広がれば、年齢を問わず活躍し続けられる元大企業出身のシニアも増えると考えます。

(※1) 総務省統計局 統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-
(※2) 厚生労働省プレスリリース「令和7年「高年齢者雇用状況等報告」の集計結果を公表します」
  ・発表資料
  ・別表
(※3) 日本総研 東京圏に住む大卒以上の元大企業OB・OGのキャリアに関するアンケート調査


本コラムは「創発 Mail Magazine」で配信したものです。メルマガの登録はこちらから 創発 Mail Magazine

※記事は執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。



経営コラム
経営コラム一覧
オピニオン
日本総研ニュースレター
先端技術リサーチ
カテゴリー別

業務別

産業別


YouTube

レポートに関する
お問い合わせ